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日立、楽天、JTどうする? ロシアのウクライナ侵攻説に翻弄される日本企業

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.02.16 21:28 最終更新日:2022.02.25 21:14

日立、楽天、JTどうする? ロシアのウクライナ侵攻説に翻弄される日本企業

プーチン大統領はどう動くのか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 

 ウクライナ情勢が重大な局面を迎えている。ロシアは現在、ウクライナとの国境に15万人規模の軍隊を集結させている。緊張が高まるなか、一部の欧米メディアは、早ければ2月16日にもロシア軍の侵攻が始まると報じている。

 

「アメリカの大統領補佐官は、13日、報道番組に出演し、『ロシアによるウクライナへの大規模な軍事行動が今にも始まる可能性がある。それは今週、オリンピックが終わる前かもしれない』と警鐘を鳴らしました。

 

 

 警告の背景には、10日からロシア軍とベラルーシ軍による合同軍事演習が本格化したことがあげられます。また、ロシア軍は14日にウクライナ南部に面する黒海で対潜水艦の演習をしたことも明らかになっています。

 

 そのうえで、アメリカが欧州各国に対し、『早ければ16日にも侵攻がある』との情報を伝えたとの報道が相次ぎました。

 

 ウクライナ大統領も、国民に向けたビデオ演説で『16日が攻撃の日という話を聞いている。われわれはこの日を結束の日にする』と語っています」(国際ジャーナリスト)

 

 緊張が高まるウクライナだが、日本にとって他人事ではない。帝国データバンクの調査によれば、1月時点で、ウクライナに進出する日本企業は57社あるという。

 

「ウクライナは『ヨーロッパのパンかご』と称される農業大国ですが、実は『東欧のシリコンバレー』と呼ばれるIT大国でもあるのです。

 

 国内のIT関連企業は5000社を超え、英語が堪能な人材も多いことから、開発委託先として世界中から頼られています。

 

 実際、アメリカのマイクロソフトやアマゾン、韓国のサムスン、中国のファーウェイなど、多くの企業が進出しています。日本企業では、日立や楽天がウクライナでビジネスをしています」(前出・国際ジャーナリスト)

 

 日立製作所の広報担当者がこう語る。

 

「昨年、日立はIT関連事業を展開するグローバルロジック社をおよそ1兆円で買収し、その開発拠点をウクライナに置きました。デジタルエンジニアリングサービス、つまり、システム開発やコンサルをおこなっています。

 

 日本人駐在員はいませんが、現地で働く従業員とご家族の安全を最優先事項と考えております。今後の状況を深く見守りながら、適切に対応していきます。可能性としては、国外退避も考えております」

 

 楽天は、同国南部のオデッサ市に事業所を構えている。同社の広報担当者が、こう話す。

 

「ウクライナで提供しているサービスでは、楽天バイバー(無料通話アプリ)や楽天Viki(動画配信サイト)などがあげられます。

 

 しかし、必ずしもウクライナからすべてのサービスをまかなっているわけではなく、ヨーロッパ各地からリモートで提供しています。

 

 つまり、こういう事態に突入しても事業運営そのものに影響はありません。今後も、情報を注視しながら、現地の従業員の安全を第一に考えて適切なサポートをおこなって参ります」

 

 また、ウクライナはタバコの輸出国としても知られる。2021年に日本が輸入した外国タバコの17%がウクライナ製で、JT(日本たばこ産業)は、人気銘柄『キャメル』の一部を現地で製造している。

 

「JTの子会社であるJTインターナショナルが、ウクライナでタバコ工場を運営しています」と話すのは、JTの広報担当者だ。

 

「そこで、『キャメル』の日本向けのリトルシガー(葉巻タバコ)を製造し、日本に輸出しています。現時点では、現地の外国籍の社員の一時退避をすでに完了しています。従業員とその家族の安全確保については、今後も検討を進めていきます」

 

 それにしても、いったいなぜロシアはウクライナへの侵攻を目指すのか。

 

「ウクライナはアメリカの影響下にあるNATO(北大西洋条約機構)加盟を目指しており、最終的にはEUへの参加も考えています。もしNATOに加盟した場合、ロシアの裏庭であるウクライナに米軍が駐留することもありえます。ロシアとしては、ウクライナへの影響力を是が非でも維持したいのです」(前出・国際ジャーナリスト)

 

 15日、ロシアは国境に配備した軍の一部撤収を公表したが、それをアメリカは否定している。現地はすでに2月16日。予断を許さない緊迫した状況が続いている――。

 

( SmartFLASH )

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