社会・政治社会・政治

日本の「年金7兆円」がトランプ大統領への貢ぎ物として消える!

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.03.15 17:00 最終更新日:2017.03.15 17:00

日本の「年金7兆円」がトランプ大統領への貢ぎ物として消える!

(写真:AFLO)

 

トランプ大統領は、これからの10年間で1兆ドル(110兆円)の国内インフラ投資を促進すると公言。ところが、米政府にはもうカネがない。財政赤字がすごい。そこでトランプ大統領が狙うのが、日本のカネだ。日本国民の、命の次に大切な年金が、米国に召し上げられる。これで本当にいいのか?」

 

 評論家の副島隆彦氏が憤る。

 

 年金資金が、トランプ米大統領(70)への「貢ぎ物」にされると報じたのは、2月2日付の日本経済新聞。「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が米国のインフラ事業に投資することで、米で数十万人の雇用創出につなげる」などと報道したのだ。

 

 この報道に対し、安倍晋三首相(62)は「デマだ。積立金の運用はGPIFが判断しておこなう。私がこれをやるな、やれ、ということはできない」と火消しに躍起となった。

 

 だが、こんな言い訳は信じられない。首相がわざわざ指図しなくても、米国に投資する枠組みはすでに用意されているからだ。年金問題に詳しい山井和則民進党国対委員長が言う。

 

「安倍首相は否定しましたが、GPIFの髙橋則広理事長は、日本の年金が米国のインフラ投資に回る可能性を認めています。年金運用資金約135兆円のうち、最大5%、約7兆円までは『オルタナティブ投資』として海外のインフラに投資できる。このハイリスク・ハイリターンの投資枠組みを安倍内閣がすでに決めているのです」

 

 '14年6月、安倍内閣は、「日本再興戦略」改訂版を閣議決定した。これを受け、GPIFは同年10月、株式運用比率を国内株式(12%→25%)、外国株式(12%→25%)に高めた。これと同時に、積立金の5%まで、海外インフラ事業や不動産事業などに投資できる「オルタナティブ投資」枠を作ったのだ。山井氏が続ける。

 

「現在、オルタナティブ投資は約800億円しかない。逆に言えば、あと7兆円投資できるわけです。トランプ大統領の不動産を日本の年金資金で買う可能性さえある。しかも、国別の投資の内実が公表されないから検証のしようがない。

 

 いま、GPIFはオルタナティブ投資の専門家を募集しています。国会答弁で髙橋理事長が『専門家がいないから、急には(投資額を)増やせない』と言っていましたが、逆に言えば、専門家を雇って投資額を増やそうとしているのです」

 

 株式運用比率を高めたことにより、GPIFの運用は以前より、ハイリスク・ハイリターンとなり、'15年度、GPIFは5兆3000億円の損失を出した。安倍首相はまったく懲りてないわけだ。あらためてGPIFに聞いた。

 

「日米の経済協力のパッケージとして投資することはありえませんが、純粋に投資としては可能性があります。7兆円はあくまで上限額です。現時点では具体的にどの国に投資しているかは私どもは公表していません。今後は公表の仕方を検討していきたい」

 

 安倍首相は、2016年2月の国会答弁で運用状況次第では年金支給額の減額もありえるとの認識を明らかにした。

 

 ここ10年で標準世帯(40年間勤務したサラリーマンの夫と専業主婦)の厚生年金支給額は年間20万円近く減った。さらに、昨年末に成立した「年金カット法案」で、厚生年金が年間14万円減額される試算が出ている。

 

「日本のサラリーマン4000万人が営々と働いて積み立てた年金で、政府は博打を打って利益を出そうと大それたことをする。米国への投資で、大損を出したら、国民の暮らしはどうなるのか? 安倍首相は、米国への『朝貢外交』で国民の暮らしを犠牲にしても痛くもかゆくもないのだ。日本人はおとなしすぎる。この事実を知れば、暴動が起きてもおかしくないはずだ」(副島氏)


副島隆彦
 評論家。1953年生まれ。日本属国論とアメリカ政治研究、経済予測を柱に、精力的に執筆・講演活動を続けている。おもな著書に『Lock Her Up ! ヒラリーを逮捕、投獄せよ』(光文社)ほか。トランプ大統領誕生を'16年5月から予測していた


(週刊FLASH 2017年3月7日号)

続きを見る

今、あなたにおすすめの記事

社会・政治一覧をもっと見る