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ロシア、北方領土を「経済特区」に指定…SNSでは「返還は絶望的」と無念の声
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.03.10 20:50 最終更新日:2022.10.11 17:52
ロシアのプーチン大統領は、3月9日、実効支配を続ける北方領土を「経済特区」とする法案に署名し、成立させた。同法案は、北方領土に進出した企業に対し、法人税や所得税を20年間免除するもの。多くの企業を誘致することで、北方領土の支配を強める思惑があるとみられる。
プーチン大統領は、2016年、領土問題の解決に向けて、北方領土での共同経済活動をおこなうことを安倍晋三首相(当時)と合意している。
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そのため、松野博一官房長官は「このような制度の導入に踏み切ったことは遺憾であり、改めてわが国の立場を申し入れました」と、ロシアに抗議したことを明かした。
「北方領土をめぐっては、ロシア側はこれまでも不穏な動きを見せてきました。太平洋でのアメリカ軍の活動を抑止するため、ロシアは北方領土を重要な軍事的拠点と考えています。
2016年、ロシアは択捉島と国後島に最新鋭ミサイルの『バル』と『バスチオン』を配備。2020年12月にも、地対空ミサイル『S300V4』を配備しています。ミサイルだけでなく、択捉島には戦闘機も配備されています。
2021年6月には、1万人以上の兵士が参加した軍事演習がおこなわれました。今年の2月にもミサイルを使った演習があり、懸念が広がっていたところです」(国際ジャーナリスト)
こうした状況を踏まえ、外務省の欧州局長は2月28日、「ロシアが北方領土を占領した」と国会で発言。すると、3月3日、ロシア外務省の報道官は「日本が北方領土の主権を主張することは永久に忘れたほうがいい」と語り、波紋を呼んだ。
「ウクライナ侵攻をめぐり、日本はプーチン大統領らの資産を凍結する制裁を加えました。その後、ロシアは『非友好国リスト』を公表。48の国と地域のなかに日本も含まれていました。
これにより、ロシア政府やロシア企業は債務をルーブルで返済することが認められました。日本政府はこれに対しても抗議していますが、今回の経済特区化により、両国の関係はますます不透明となりそうです」(同)
北方領土の経済特区化に、SNSでは非難や無念の声があがった。
《北方領土返還は絶望的と考えて良いだろうなあ》
《経済制裁全世界から食らってる状況で、経済特区も何も無いわな。現状見て参加する海外企業あったら頭おかしいわ》
《こんな場所経済特区にしたところで それほどロシア経済に良い事があるとは思えない。 完全に日本を脅しに来てんだぞコレ》
《今なら国際社会は聞く耳を持つ。この機を逸さず、ただロシアに「抗議」するだけでなく、北方領土がロシアに不法占拠された日本領であることを強く国際発信すべきだ》
ロシアは2020年7月、憲法に「領土割譲の禁止」を盛り込んでおり、返還交渉そのものが難しくなると言われてきた。残念ながら北方領土問題は、膠着したまま、動きそうにない。
( SmartFLASH )