健康保険証とマイナンバーカードを紐付けて利用することのできる「マイナ保険証」。マイナンバーカードの普及を目指す政府の肝いり事業で、昨年10月から本格的に導入がはじまった。
マイナ保険証を使えば、医師や薬剤師が患者の健康診断の結果や処方歴などを一元的に把握できる。また、複数の医療機関の診察券が1枚に集約されるなどのメリットもある。
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しかし、共同通信の報道によると、4月からマイナ保険証を医療機関で使用した場合、患者の医療費が増えるという。医療費が3割負担の患者がマイナ保険証を利用すると、初診時に21円、再診時に12円、調剤に9円の追加負担が発生。さらに、通常の健康保険証を利用した場合でも、9円の追加負担が生じるという。
これに対し、ネット上では非難が巻き起こっている。
《普及させる気無いのかな。。少額とは言え費用かかるのはイヤですよね》
《マイナ保険証など使う必要は皆無だね。マイナ保険証を使って、余分なカネを取られるだけだね。処方薬の履歴ならば、お薬手帳があるからね!》
《普及させる為に割引とかあるかと思うけど、負担増って中々無いね》
通常、デジタル化はコスト削減のためにおこなうのに、なぜマイナ保険証を使うと追加費用が発生してしまうのか。ITジャーナリストの三上洋氏が、次のように語る。
「この最大の問題は、厚労省が引き上げた『診療報酬』です。医療機関がマイナ保険証を導入するには、コストも手間もかかってしまう。実際、現在マイナ保険証を使える医療機関は14%程度にとどまっています。
政府としては、マイナ保険証をどうしても普及させたい。そのためには、まずは使える場所がないといけない。そこで、マイナ保険証を導入した医療機関は、診療報酬を引き上げることにしました。
でも、その上乗せ分の予算を厚労省が確保できなかったのか、どこが負担するのか決まらなかったのか、いつの間にか利用者負担になってしまったんです。
診療報酬を引き上げた結果、利用者に負担が発生することになったのは本末転倒で、明らかに政府と厚労省の施策のミスです。わずかな診察費なら増やしても大丈夫だろうという判断は、あまりにも甘すぎると言わざるを得ません」
医療費が上乗せされることとなったマイナ保険証だが、もちろんメリットもあるという。
「まず、顔認証つきのカードリーダーで受付が自動化されます。これによって、保険証のチェックの手間が省け、スムーズに受付をおこなうことができます。
また、高額医療費の支払いも、これまでは限度額以上の金額を一時的に支払うか、もしくは限度額適用認定証を作る必要がありました。しかし、マイナ保険証があれば、限度額を超える支払いがその場で免除されます。
あとは、確定申告です。マイナポータル(行政サービスのオンライン窓口)で過去の医療費を管理できるので、スムーズに確定申告がおこなえます」(前出・三上氏)
政府は2023年3月までに、全国すべての病院、診療所、薬局でマイナ保険証が使えるようにする方針だ。はたして、思惑どおりにいくのかどうか、疑問が残る滑り出しとなってしまった。
( SmartFLASH )