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「なぜ自民党出ない?」太田光からの疑問に石破茂氏が真剣回答…「政権は長続きしなければ失望しか残せない」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.03.30 06:00 最終更新日:2022.03.30 06:00
ロシアのウクライナ侵攻直後から、この男の知見が自民党内で注目を集めている。防衛庁長官、防衛大臣を計3年近く務めた石破茂氏(65)だ。これまで、たびたび石破氏と議論を交わしてきた「爆笑問題」の太田光(56)が、あらためて石破氏に “本当の安全保障” を問う。
石破 私は今まで日米安全保障条約の見直し、地位協定の見直しをずっと言ってきました。以前、集団的自衛権の問題は太田さんとめちゃくちゃ言い合ったわけだけど、本当に日本が独立国となるためにはこれをやらないとしょうがないと、私は今でも思ってますよ。
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太田 まあ、石破さんとは考え方が違うけど、重なる部分もある。安倍(晋三)政権が出してきた改憲案というのは「自衛隊明記」だけど、交戦権にはいっさいふれていない。それじゃあ改憲の意味がない。俺はむしろ護憲派だけど “国民投票はしたい派” なんです。
つまり、議論を重ねて国民投票で憲法が変わるなら、俺はそれに従う。でも、あの骨抜きの改憲案を見ると、安倍さんは本気で議論する気がないんじゃないかと。そのへんは石破さんと共通していると思う。
石破 120%共通するね。改憲の議論は開かれているほうがいいのに、そうなっていない。
太田 自民党がそうしないの? じゃあ、やっぱり(党を)出るしかない(笑)。
石破 なんで、そこに(笑)。
ーー2021年10月31日の衆議院議員総選挙投開票日。太田は『選挙の日2021 太田光と問う!私たちのミライ』(TBS系)で、石破に「自民党を割って出ないのか?」と尋ねた。しかし、中継時間が足りず、答えは放送されなかった。
太田 今の政治を改革するのは野党ではなく、自民党内の(政権とは)別の人だろうと。ましてや、石破さんが小泉(進次郎)さんと一緒に、総裁選で河野(太郎)さんを応援した「小石河連合」は大きなうねりになるんじゃないかと思ったんです。
石破 私は国会議員になって37年め。「55年体制」崩壊も民主党政権も見てきましたが、長く続かなければ失望しか残せないんです。世の中を変える力を持っているのは、やはり自民党。だから、軽々と「小石河連合で自民党を出て、世の中を変える」という話にはならないんですよ。
太田 でも、石破さんはさんざん与党を経験してきた。そこに河野さんや小泉さんをはじめ、まわりを固める人がいたら、その場だけのものでは終わらないんじゃないですか。
石破 与党になるのも与党で居続けるのも大変なことです。内閣に失言や答弁ミスがないこと。霞が関といい関係を築くこと。そして、今の自民党に匹敵するほどの強い地方組織を持つこと。政権を続けるためにはこの3つが必要です。
太田 この前の総裁選で石破さんが河野さんを応援したのは意外だったんですよね。そこに賭けるべき “ひと山” があったからだと思うんです。だから、自民党を出る、出ないではなくて、石破さんが求心力となって人をまとめていくという思いはまだあるんでしょ?
石破 そうですね。河野さんも、小泉さんもいい人材だと思います。私は永田町の自民党内では支持がほとんどないから、どうなるかはわかりませんけど(笑)。
太田 河野さんは総裁選で負けちゃったけど、小石河連合の芽はまだあるんですか?
石破 あると思いますよ。去年は「出生数」が史上最低、結婚した人の数も史上最低で、人口減少に拍車がかかっている。社会の根本が大変な今だからこそ、顔色をうかがう政治ではなく、「私はこう思う」と言える人が政治をやるべきだし、そういう集まりができるといいと思います。
太田 何がやりたいか明確で説明がわかりやすいというのは、我々タレントのような大衆芸能と同じく大事なこと。自民党だって “大衆政治” をやっているわけだから。小石河連合が動きだしたら、国民の期待は今でも集まると思いますよ。
石破 残念だったことがあって、総裁選の前に私と河野さん、小泉さんの3人で一緒になって、北海道から沖縄まで遊説しよう、という思いがあったの。でも、去年の9月はコロナ第5波で、遊説は実現できなかった。
太田 そうか。人を集められなかったんですね。
石破 3人で日本全国を演説して歩きたかった。それも交通手段を駆使して、神出鬼没というか、どこに現われるかわからないというふうにして、世の中を沸かせて変えたかったけど、実現しなかった。
太田 岸田政権の次というのは当然考えていますか?
石破 そりゃあ、自民党の国会議員たるもの、つねに「俺が変えるぞ」という思いを持っていないと。それは与党議員としての義務だと、私は思っていますよ。
いしばしげる
1957年2月4日生まれ 鳥取県出身 1986年の衆議院議員総選挙で初当選。2007年の福田康夫内閣で防衛相に。以降、農水相、内閣府特命担当相(地方創生、国家戦略特別区域)を歴任。自民党内では幹事長、政調会長を歴任した。自民党総裁選は2008年、2012年、2018年、2020年と4度出馬し、いずれも敗れた
おおたひかり
1965年5月13日生まれ 埼玉県出身 日大芸術学部中退後の1988年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。『サンデー・ジャポン』(TBS系)、『太田光のつぶやき英語』(NHK Eテレ)などに出演。著書に『芸人人語』(朝日新聞出版)、『憲法九条の「損」と「得」』(中沢新一氏との共著、扶桑社)などがある