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4月から始まる「ガス自由化」東電の攻撃に苦しむ「東京ガス」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.03.31 12:00 最終更新日:2017.03.31 12:00

4月から始まる「ガス自由化」東電の攻撃に苦しむ「東京ガス」

『写真:アフロスポーツ/アフロ』

 

「当社よりも安い値段を見つけたらお知らせください」
 4月から首都圏で家庭向けガスを販売するLPガス(液化石油ガス)大手ニチガスが、家電量販店顔負けのキャッチフレーズをふれ回っている。

 

 ニチガスは自由化以前から、格安でガス機器を販売してきた。機器の販売で顧客とのつながりを作り、自由化後に「本丸」であるガス販売の足がかりとするためだ。手始めに、同社から機器を購入すれば、ガス代を「もれなく5000円」割り引くサービスも始めている。

 

 実は、ニチガスに都市ガスを卸すのは東京電力なのだ。東京電力は、まずニチガスを先兵に家庭向けガス市場に参入し、7月から自ら参入して東京ガスに真っ向勝負を挑む予定だ。

 

 なぜ電力会社がガス事業に参入するのか。電力会社は発電用にLNG(液化天然ガス)を大量に輸入している。これはそのまま都市ガスの原料となる。
 そのため、東電以外に、関西電力、中部電力、九州電力などもガス販売に乗り出す。

 

 東電が本気なのは、2016年4月に電力自由化が決まり、多くの顧客を東京ガスに奪われたから。小売りを担う東京電力エナジーパートナーの佐藤美智夫常務は「ガスで絶対に顧客を取り戻す」と闘志をあらわにする。

 

 対する東京ガスは劣勢に見える。東京ガスが販売するガス機器の値引き率は定価の2~3割程度と、半額も当たり前のニチガスに比べ見劣りする。

 

 現在、東京ガスは、メーカーからまとめて仕入れた機器を地域の販売店「ライフバル」に卸している。ライフバルは引っ越し時のガス栓の開閉や検針といった業務も受託している。

 

 東京ガスにとっては一般家庭への窓口なのだが、ライフバルは人件費の比重が大きく、利益率が低い。ガス機器の値引きをする原資に乏しいため、東京ガスはあわててメーカーと直接交渉し、値引きをお願いしている状況なのだ。

 

 東電・ニチガス連合は、今後、電気とガスのセット販売による割安料金を武器に、2019年度までに100万件の顧客を獲得する目標を掲げている。東京電力と東京ガスの熾烈な販売合戦、勝者はどちらだろうか。(ジャーナリスト・池田正史)

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