「私は演奏を配信したくてTikTokerをしています。これが杉浦さんの言う“サポート”なのかと、ショックで頭が真っ白になりました。
本当にイヤでしたが、RPG社に所属したばかりで逆らうことができず、水着写真を送りました。ほかにも、私とたまたま同じ名前のアカウントでツイッターに投稿されていたエッチな画像を、『これはA子?』と送りつけられたこともあります」
そして、A子さんにとって、RPG社と杉浦氏への不信感が決定的となる出来事があった。2022年3月に杉浦氏から届いたLINEだ。
「〈こーいうのやろうと思ってるんだけどさ〉と軽い調子で、〈観覧車で二人きりで夜景を見よう!(20万円)〉〈ディナーを個室で二人で食べよう!(10万円)〉などを“報酬”に設定した、『パパ活』のようなクラウドファンディングをやらせようとしたのです。
あまりに高額で、購入者から“性的な見返り”を要求されると思いました。そんな奴隷のような毎日がつらく、事務所を辞める決意をしました」
「多額の負債を負うことになる」という杉浦氏の発言は、退所を申し出たA子さんに対し、杉浦氏が浴びせたものだ。杉浦氏は、知人に送ったLINEで、これが「脅迫」であることを自ら明かし、知人から諌められている。
〈弁護士立てて、訴えるというのはだめですかね?脅し文句だとしても。〉
〈脅迫になっちゃいますかね〉
ハラスメントの問題に詳しい橋本智子弁護士(あおば法律事務所)が解説する。
「事務所社長という圧倒的に優位な立場にある人間が、新人タレントに水着の写真を送らせることは、力関係を利用した悪質な性暴力というべきです。『パパ活』に関しては、断わることができたとはいえ、そのような勧誘をすること自体がセクハラです。辞めようとするタレントに対して『多額の負債を負うことになる』と告げることは、『脅迫罪』にあたる可能性があります」
4月末、知人男性も立ち会って、A子さんは杉浦氏と話し合いの場を持った。杉浦氏は一転して、A子さんに違約金を請求しないことを約束し、契約は終了した。
5月10日、本誌は杉浦社長を直撃した。冒頭の「何百万円か払ったら」という発言はこのときのものだ。杉浦氏からは後日、電話や文書で回答があった。
水着写真を送らせたことについては、「TikTokはさまざまな衣装で動画を撮ることがバズりを生みます。実際に、今まで平均1万再生もいかなかった方が、私のアドバイスで露出の高い服を着たことで、平均50万再生になった実績もありまして、水着の提案をしました」。
“パパ活”への勧誘は、「勧誘ではなく、提案です。もともと、クラウドファンディングとファンクラブが合わさったようなものを企画しておりました。実際には、企画は立ち上げてはいません」と、どちらも善意からの提案で、強制はしていないとした。
退所の際に違約金を要求したことについては、「A子さんには、機密保持契約違反がありました。それにより、もし収益が減った場合、その部分はどうしても裁判などになる可能性があるということをお伝えしました。この言葉もけっして『脅迫』ではなく、『そういうこともあるよ』という話です」。
華やかに見え、若者が押し寄せるネット配信者たちの世界は、カネと欲望にまみれる無法地帯だ。