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「今の日本人の生活は1970年代並み…」「アルゼンチン・ペソと同程度」エコノミスト3人が記録的円安を断罪する!
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.05.20 06:00 最終更新日:2022.05.20 06:00
2022年4月28日、1ドル=130円台と20年ぶりの円安水準を記録。長年のデフレ下で円高は敵視されてきたが、今度は「悪い円安」ともいわれている。
結局、円安は日本にとって“天国”か“地獄”か。 今回、本誌は“地獄派”を掲げる気鋭のエコノミストに尋ねた。
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■日銀は中央銀行の責務を放棄した
円安は、国民生活にどんな影響を及ぼすのか。一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は、こう語る。
「物価が上がる。しかし賃金が上がらない。労働者の生活が非常に厳しくなります。これは20年間続いている。
今春闘で平均賃上げ率がおよそ2.1%。これまでも、ほぼ同じ状態だった。今までも実質賃金は下がってきましたが、その傾向は円安でさらに強まるでしょう。今後、物価が4%程度上がることはあり得ると思います。2%を超えるのは確実。
しかし賃金上昇がゼロなら、実質賃金はマイナス2%、最悪でマイナス4%になる可能性もあります」
円安は、高齢化社会にも暗い影を落とすという。
「私がいちばん恐れているのは医療や介護の分野です。外国のほうが賃金が高いから、外国から介護人材を日本に呼ぶことができなくなる。さらに、日本の人材も外国に出ていってしまうでしょう。今後は、十分な医療や介護を受けられない時代になります」(同前)
かつて円安は、貿易立国・日本にとってメリットが大きいといわれていた。
「20年間円安政策を続けて、結局日本が弱ってしまった。円安は輸入原価を引き上げるが、企業はその値上がり分を製品価格に転嫁します。しかし賃金は上げない。だから利益が出る。
つまり、消費者と労働者に負担を強いることにより、企業の利益は増えるのです。安易に儲けられるから、事業の見直しや技術開発を怠ってきた。そして競争力を失ってしまった」(同前)
円安を食い止める方法はあるのか。
「日銀が金融緩和政策から脱却して、通貨価値を安定させるしかない。それが中央銀行のもっとも重要な責務です。世界の中央銀行は一生懸命利上げをおこなっているのに、日銀だけがその責任を放棄しているのです」