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“プーチンの後継者”候補に挙がった「無名の36歳」の正体…“真の黒幕”が終戦のため狙う交代劇
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.05.25 06:00 最終更新日:2022.05.25 06:00
「5月9日の戦勝記念日のプーチン大統領の演説は、事実上の“敗北宣言”でした」
ロシア政治のスペシャリストで、ロシアから入国禁止にされた筑波大学の中村逸郎名誉教授が言い切った。
「驚いたのは、プーチンがウクライナとの戦争でロシア兵に犠牲者が出ていることに初めて言及したことです。実際2万人近い死者が出て、兵力全体の25%が失われたともいわれ、それを認めたことは『もう戦えない』とプーチン自身が表明したに等しい」
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侵攻に執念を燃やしてきたプーチンに何があったのか。
「ひとつは体調の問題。プーチンはがんを患っているという情報があります。もちろん戦況の悪化も背景にある。私は、ロシア軍はあと2~3カ月しかもたないとみています」
そして式典には、ある“仕掛け”があったと指摘する。
「式典の終わりに、赤の広場から無名戦士の墓に移動するのですが、プーチンと話しながら歩く若い男性の姿が、国営放送で32秒間にわたって映し出されたんです。私も見たことのない人物でした。
モスクワの知人に尋ねると、名前はドミトリー・コヴァリョフだとわかりました。ロシアでも無名ですが、じつはプーチンの後継者候補で、式典の映像はその“お披露目”だったとの見方が、ロシア国内で広まっているのです」
プーチンの後継者と目されるコヴァリョフとは、いったいどんな人物なのか。
「大統領府の局長とされています。年齢は36歳。この若さで局長なら、出世頭といえる。とくに大統領府は、各省庁の上に位置する最重要部署です。コヴァリョフに後継者として白羽の矢が立ったのは、プーチンのアイスホッケーチーム『夜のリーグ』のメンバーであることが大きい。プーチンは共通の趣味を持つ人間をしばしば優遇してきました」
コヴァリョフは、父がオリガルヒ(新興財閥)でもある。
「ガスプロムの関連企業のオーナーで、プーチンとも親しい仲。そしてコヴァリョフは、かつてプーチンが在籍したFSB(ロシア連邦保安庁)ともパイプがあります。さらに、FSBの第6局の創設者、イーゴリ・セーチンという人物とも関係が深い。ロシア最大の石油会社・ロスネフチの会長で、プーチンの側近中の側近。この“黒幕”セーチンがプーチンの後継者としてコヴァリョフを推しているのです」
突如として登場したこの若き大統領候補は、オリガルヒに近くFSBとの接点もあるというプーチンの「コピーロボット」なのだ。それにしても無名の36歳が、ほかの候補より評価されるのはなぜか。
「ラブロフ外相、ショイグ国防相など後継候補の多くは、長年の権力闘争でライバルに弱みを握られている。むしろ若くて政治経験がないことこそ、コヴァリョフの強み。なにより決定的なのはセーチンが支援していること。その資金力は圧倒的で、セーチンの意向には誰も逆らえません」
“シン・黒幕”としてセーチンが狙うのは、戦争の終結によるロシア経済の復興だ。では、この交代劇はどのように進むのか。
「プーチンは公式の場で、病気の治療に専念すると表明して引退する。そして大統領令により、コヴァリョフを大統領代行に任命。3~4カ月後に大統領選挙を実施し、コヴァリョフ大統領が終戦宣言するという流れが考えられます」
6月12日は、ロシアが旧ソ連邦から独立した「ロシアの日」。はたしてーー。