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自称「松阪の虎」に警視庁が焦るワケ…捜査体制強化でも「巨額不正受給」取り逃し
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.06.01 13:17 最終更新日:2022.06.01 13:22
5月30日、警視庁は新型コロナ対策の持続化給付金を不正に受給したとして、三重県松阪市の45歳の母親と20代の息子2人を逮捕した。しかし、主犯格とみられる父親の谷口光弘容疑者(47)はシンガポールに逃亡したとみられ、指名手配されている。
「谷口容疑者は地元のキャバクラで後輩や取り巻きを連れ、大人数で派手に飲んでいましたよ。東京の六本木にも自宅があると話していて、写真も見せてくれました。『松阪の虎』と自称していて、大柄で見た目は悪そうですが、礼儀正しくきれいに飲むタイプです。ここ1年くらいは姿を見せなかったので、てっきり、事業を東京に移したのだと思っていました」(地元商店主)
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羽振りのよさが窺えるのもうなずける。谷口容疑者ら4人は、一家を中心に虚偽の申請を繰り返し、過去最大の約9億6000万円を不正受給した容疑がかかっている。
「驚くべき被害金額です。異業種交流会やビジネス関係のセミナーといった形で、給付金申請の名義人を勧誘し、2019年度の虚偽の確定申告書を作成して申請する手口。
虚偽申請は1700件以上とみられています。逃亡中の光弘容疑者がリーダーで、家族以外にも10人程度の勧誘役が都内近郊で3000人近い名義人を集めていたようですね」(全国紙記者)
今回の事件は虚偽申請の名義人からの通報で谷口容疑者らの犯行が浮上したというが、こうした「持続化給付金」の不正受給は後をたたない。
「コロナ禍でいち早く支給が求められた “政治案件” だったこともあって、申請書類の精査はほとんどされておらず、書類が提出されればいったん支給するといった状態だったようです」(同前)
申請業務のほとんどを母親と長男がおこない、谷口容疑者と次男が名義人の獲得窓口のような役割だったという。SNSやセミナーを通じて、名義人集めがおこなわれていたと報じられている。
持続化給付金については、不正受給を指示した人物の逮捕が繰り返されている。だが、今回のようにSNSを用いた大規模な不正受給が明らかになったのは初めてだ。
じつは、前々から給付金申請代行を謳う勧誘がLINEなどのSNSでおこなわれおり、「不正受給ではないか?」という噂があった。あるLINEグループに加入していたネットワークビジネス関係者がこう話す。
「もともと、ビジネス関連のセミナー後の “人脈作り” のために作られた400人近いグループが放置された状態だったんです。そこに突如、『国のコロナ対策の助成事業で返還不要の資金がある』と投稿した人物が現れたんです。
その人物は『30万円から50万円程度が支給される』と喧伝していましたが、持続化給付金は個人事業主には100万円が支給されるので、名義を借りて不正受給して得た給付金から “手数料” を引っ張ろうという魂胆だったのでしょう」
こうした確信犯的な不正受給の横行に、国が目を光らせていたのも事実だ。
「不正受給は、自主返還すれば、起訴されたとしても在宅、書類送検で済みます。しかし、それに応じない悪質な不正受給者に対して、給付金詐欺を捜査する警視庁2課では、2021年ごろから事件を国家犯罪ととらえ、徹底的に捜査する体制が敷かれていました。
実際に逮捕後に起訴された場合、一審判決が初犯で実刑になったケースも多く、厳しい判断になっています。
ただ、体制強化のなかで “いちばんデカいホシ” を取り逃してしまったわけで、それがここまで大々的に情報公開して捜査している理由でしょう」(前出・全国紙記者)
( SmartFLASH )