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吉村府知事、大規模医療センター開設で “強行突破” …健康医療部の難色が「レク文書」で明らかに
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.06.07 11:00 最終更新日:2022.06.07 11:00
5月31日、臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」が閉鎖された。
大阪府が新型コロナウイルス対策として、国際展示場「インテックス大阪」に1000床を確保して、2021年9月30日から開設した施設だが、約60億円を投じたにもかかわらず、使用率が1%にも満たない日が続いていた。累計の利用者数はわずか303人で、1人あたり2000万近い予算がかかったことになる。
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大阪府の吉村洋文知事(46)は、大金を投じて大規模医療センターを開設したことについて、記者団に対して「もともとの予定どおり」と発言しているが、府政関係者はこう話す。
「インテックスへの開設は吉村知事の “肝入り” でした。周囲の忠告を受けても、『どうしてもインテックスじゃなきゃダメだ』と言わんばかりでしたからね……」
ここに、1枚のペーパーがある。「知事レク概要」と題された文書で、2021年8月18日に吉村知事と大阪府の健康医療部長(健医部長)との会議の簡易的な議事録がまとめられている。
記された内容によれば、吉村知事は、
《関経連(編集部注:関西経済連合会)が提言行った野戦病院、インテックスでできないかと思っている。人材確保が問題なら、医師会にお願いすればよいのではないか。
健康医療部には監督してもらい、運営は違う部局でチームをつくり、できないか。自宅で亡くなる方が出ないよう、医療の管理下における環境をつくりたい》
と尋ねている。しかし、健医部長は医療従事者の確保の困難さなどから、
《加盟企業の関連病院に病床を増やしてもらった方が良い、と以前松本会長(編集部注:関経連の松本正義会長)にはお話した》
と、大規模医療センターの開設に難色を示していた。
それに対して吉村知事は、《人の前に、場所はどこが使えるか》《大規模だから意味があるのでは》と、あくまで場所にこだわる姿勢を見せ続ける。
それでも、健医部長は新設に懐疑的だ。《野戦病院のニーズがあるのか》《ホテルを増やせば》と、吉村知事に対して別提案を続けていたのだ。
前出の府政関係者が補足するようにこう話す。
「大阪府はインテックスの需要が少なかったことについて、『オミクロン株の特性を予想できなかった』としていますが、当初から大規模医療センターの必要性は疑問視されていたんです。
現場の人間からすれば、インテックスは交通の便も悪い。だだっ広く暖房が効きにくいため、冬は底冷えするなど、新型コロナ患者の療養施設として使い勝手が悪いことはわかりきっていました。
健医部長もそうした課題があることを伝えていたにもかかわらず、『野戦病院』という言葉にこだわった吉村知事が強引に進めたとしか思えません」
大阪府に「知事レク概要」について尋ねると、健康医療総務課の担当者が回答した。
「情報公開請求があれば公開している内容のものです。知事レクの概要があったことは間違いありません」
もっとも多かった日でも、1000床のうち70床しか利用されず、“大失敗” に終わった大規模医療センター。かかった経費は当初の87億円から60億円ほどに減ったとはいえ、知事の暴走でこれだけの金額が費やされたのだとしたら、府民の怒りは収まらないだろう。
( SmartFLASH )