社会・政治
離婚後の共同親権、橋下徹弁護士が「やっと世界標準」と歓迎するも…百害あって一利なしとの声も
ーー日本の「共同親権」と欧米の「共同親権」の違いをもう少し詳しく教えてください。
「欧米では、DVを規制する法律や子どもを虐待から守る法律が充実しているんです。特にフランスは、離婚する際、必ず裁判所のチェックが入ります。
裁判所で『共同監護』などを決めるわけですが、それでも見落としがある。
2017年に公開された、『ジュリアン』というフランス映画があるんですが、これがすごくリアルだと当時たいへん評判になりました。すごいDV夫なのに、裁判所が見逃して『共同監護』になったことで子どもにとっても母親にとっても辛い状況になり、命の危険にすらさらされる。
日本のように、協議離婚で裁判所のチェックなく離婚できる国では、さらにそういうことが起きる危険性があります。
DV規制や子どもの虐待保護、被害者保護の仕組みができて、初めて『共同親権』が検討に値するものとなる。
それでも、オーストラリアや、イギリスなどの欧米諸国では、『別居親』の権限を弱める方向に現在は向かっています。『別居親』の権限を強めたことで弊害が出てきたからです。
DVは、裁判所が見抜けないケースが増えてきています。最近は、目に見えないDVも多くなっている。DVする側も、目に見える暴行を加えたらアウトだという意識が浸透していることもあって、見えにくい形で、支配するパターンが増えています。
DVをするような人は自分がDVをしていることは認めません。『言葉の暴力など一度もありません』と平気で言いますから。『言葉の暴力』なんて、言われた側がどう感じるかが問題なのに、そうした共感性や想像力がないんですね。
父母が協力して子育てできるに越したことはありませんが、それは、『共同親権』がなくても十分にできます。それができない関係性においては、『共同親権』は別居親による拒否権あるいは『強制権』にしかならない危険性が大きい。つまり、『共同親権』はまったく必要のない、認めるべきでない権限なのです」
画期的な動きかと思われた「共同親権」。橋下氏のような賛成意見もあるが、子どもへの悪影響を危惧する意見もある。今後の議論を注視する必要がありそうだ。