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公明党・山口那津男代表、「防衛費の増額」めぐり発言揺れる…「平和の党」の力量問われる正念場
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.06.28 15:50 最終更新日:2022.06.28 15:53
6月27日、公明党の山口那津男代表がBSフジの番組に出演。防衛費増額の財源として、国債を活用する考えが自民党内の一部にあることに関して、「国債に安易に頼るべきではない」と慎重な認識を示した。「財源は基本的には税だ。癖になったら大変だ」とも述べた。
一方で、同日、山口代表は東京都品川区内の防衛関連企業を視察。参院選公約では、安保法制の強化を柱の一つに据え、山口氏も防衛力強化に発信の軸足を移している。
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防衛力強化というアクセルを踏む一方、自民党に対してブレーキ役にならなければいけない。「平和の党」を掲げる公明党の代表として、山口氏自身の発言が揺れている。
もともと、防衛費の増額には否定的だった。
4月4日、視察先の千葉県八千代市で記者団に対し、「防衛費を全体として強化していく議論は必要だが、いきなり単年度で倍増に近い増額はすべきでない」と指摘。歳入にも限界があるなか、「社会保障や教育などの需要はとても大きく、それらを削る形で防衛費だけを突出させるのは妥当ではない」と述べていた。
4月20日のラジオ日本の番組でも、防衛費を国内総生産(GDP)比2%に増やすべきとの自民党内の主張に関し、「無理がある。おおむね1%程度は大事にしていくべきだ」と述べ、否定的な見解を示している。
ただ、4月末の日本経済新聞の世論調査では、防衛費を国内総生産(GDP)比で2%以上へ引き上げるべきかとの質問に関し、賛成が55%で反対の33%を上回った。公明党支持層でも、6割弱が賛成。
そして、岸田文雄首相が5月の日米首脳会談で「防衛力を抜本的に強化し、防衛費の相当な増額を確保する」と言及したことを受け、山口代表は防衛力強化に前向きな姿勢を示し始めた。参院選公約では、防衛力強化を公約の柱に据え、自衛隊憲法明記の「検討」も打ち出した。
参院選公示日の6月22日、神奈川県横浜市のJR桜木町駅前。元防衛大准教授の候補と並んで山口代表は拳を空に突き上げ、こう主張した。
「日本の安全保障、ウクライナを見ると人ごとじゃない。真に必要な防衛力を強める」
防衛費増額に否定的だった山口氏が、一転、防衛費増額に理解を示す。その一方で、自民党内にある国債を活用する案には釘をさす。「平和の党」の代表として揺れる心境について、政治ジャーナリストの角谷浩一氏がこう語る。
「参院選で、日本維新の会、国民民主党を含めて、改憲に前向きな政党が3分の2を超えそうな勢いです。公明党が自民党のブレーキ役をすればするほど、日本維新の会や国民民主党の存在感が大きくなってしまう。かといって、自民党のブレーキ役を果たさなくなれば、公明党の存在意義がなくなってしまう。
しかしながら、連立政権から離脱したあと、行き場があるかといえばないわけです。20年以上自民党と連立を組んできて、連立を離脱すれば、いままでの20年超の歴史を否定することになる。公明党は、与党しかできない状態で、進むも地獄、引くも地獄というジレンマのなかにあるわけです。
また、山口代表は今秋の任期満了後に退任し、石井啓一幹事長が後任になる話もあり、次の執行部がスムーズにいくように、あまりハードルを上げられないという面もある。
ただ、いまは自民党内で、政権や政策に対して批判する声が出なくなっている。最後に引っ込めるにしても、連立のなかで自民党に苦言を呈する政党は必要です。
平和の党と言われながら安保法制に賛成したり、防衛費増額にも前向きになったり、連立を維持するために考えを変えるのか。自民党のブレーキ役をこれからも果たしていくのか。
いま一度、公明党の役割、立ち位置を見直して、本来の公明党の役割を見せてほしい。これでは有権者も迷うことになってしまう」
たしかに、「平和の党」の代表の方針が揺れることにSNSでは、《今日の街頭演説で防衛費増やして日本を守るって言ってましたがどっちが本当なのか有権者が迷ってしまいます》などと戸惑いの声も上がっている。
参院選後、バランス役を果たせるか。「平和の党」の力量が問われている。
( SmartFLASH )