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安倍首相“消費増税で党内対立”は確信犯的パフォーマンス?

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2014.11.10 08:00 最終更新日:2016.02.26 01:47

安倍首相“消費増税で党内対立”は確信犯的パフォーマンス?

 消費税10%への引き上げに慎重な若手・中堅議員43人の議連「アベノミクスを成功させる会」が開いた勉強会。その冒頭で、山本幸三会長は「消費増税はマイナスの影響しかない。慎重にタイミングをはかるべきだ。とくにデフレから脱却するこの時期は危ない」と再増税を強烈に牽制した。

 

 山本氏は旧大蔵省OBで、今年4月の消費増税に関しては「デフレ脱却と消費税は関係ない。早く(増税を)決めるべき」と語っていた人物。その変節ぶりを含め、この勉強会はメディアにも大きく取り上げられた。

 

「勉強会の講師には、安倍首相のブレーンである本田悦朗内閣官房参与が呼ばれ、消費税再引き上げの時期を’17年4月まで、1年半先送りするよう求めたのです」(自民党担当記者)

 

 10月22日、安倍晋三(60)内閣の目玉だった女性閣僚がダブル辞任した2日後の話だ。全国紙政治部デスクは、「後ろで糸を引いている」のは菅義偉官房長官(65)と解説したうえ、増税議論に冷ややかな視線を送る。

 

「茶番なんです。菅氏は“40人超が真摯な議論をするのはいいこと”と増税反対を黙認している。というのも首相ー官房長官ら官邸サイドは、小渕前経産相らの“政治とカネ”の問題を早く終わりにしたい。だから“消費増税での党内対立”をけしかけている。この対立が新聞・テレビで報じられれば、“政治とカネ”の扱いを少しでも小さくできる。さらに、自民党内の議論ですから、野党も突っ込めないのです」

 

 この議連は、もともとは「デフレ・円高解消を確実にする会」という名で、野党時代の安倍首相自身が会長を務めていたものだ。しかも、勉強会が開かれた10月22日は、予定どおりの引き上げを狙う自民党税制調査会(野田毅会長)が新体制での勉強会を開いたのと同じ日。

 

 一方で「上げるな」、一方で「上げるべき」と、党内議論が活発化しているように見せる演出。これはいままでTPP交渉や、消費税8%への増税などで、安倍ー菅ラインがたびたび見せてきた情報操作術だ。自民党若手議員は「野田党税調会長は“リーマン・ショックが再び来たら考え直す”なんてウソぶいているように、10%への再増税を延期するなどまったく想定していない」と嘆く。

 

 そもそも、消費増税は現在の自民党幹事長・谷垣禎一氏が自民党総裁時代に、公明、民主との3党合意で決まったもの。自民党本部の幹部職員は次のように解説する。

 

「総理は今秋の人事のとき、来年9月の自民党総裁選で再選を果たすために、対立候補の芽がある谷垣さんを取り込もうとした。しかし、当然、谷垣さんだって幹事長受諾には条件をつけたはず。我々の間では、それが既定どおりの“消費税10%への増税”というのは暗黙の了解みたいなものだった。3党合意で決めた谷垣さんには面子があります」

 

 11月4日以降、有識者42人から再増税判断への意見を聞く会合が5回開かれる。だがこれも、今年4月の8%増税前に開かれた“茶番”を繰り返すにすぎないのか――。

 

(週刊FLASH 2014年11月18日号)

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