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小泉純一郎氏、人生最後の取材!愛息・進次郎“総理への道”を語った「大事なのは失った信頼を取り戻すこと」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.07.05 06:00 最終更新日:2022.07.05 06:00
その目の光、声の張りに衰えは感じられなかったーー。
元首相・小泉純一郎氏(80)。政界を引退後、脱原発派へ転じ、講演などで「原発ゼロ」を主張してきたが、今年4月、その活動も終了した。
「さすがにこの年だからねえ。講演はもうやらないと決めた。取材もこれが最後だ」
嘘か実か、本誌が人生最後のインタビューとなったわけだ。だが、その弁舌の勢いは、今も往時のまま。小泉氏はこの日も、原発の話から始めた。
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現在のエネルギー価格高騰を機に、与党を中心に原発再稼働を求める声が強まっているが、真っ向から反論する。
「原発は安全でコストも安い、CO2も出さないクリーンエネルギーだと経産省は言っていたが、大ウソだった。だいたいCO2どころじゃないよ。核のゴミをどうする。何千年も隔離する必要があるし、そもそも最終処分場がない。そんな危ない原発を、なぜ政府は再稼働しようとするのか。
それに、ロシアはウクライナ侵攻で原発を攻撃した。日本でも原発が攻撃の標的になり得る。国民に向けた核兵器を持っているようなものだ」
折しも参院選が戦われているが、原発は争点にもなっていない。
「自民党が『脱原発』を言わないのはどうしようもないが、野党も言わないんだ。(電力総連など)労組に反対されて言えないんだな。野党がまとまって『原発ゼロ』を公約にしたら、自民党は負けるかもしれない。だが、今の野党は批判することを忘れて、野党でも与党でもない“ゆ党”になってしまっている」
環境大臣を務めた愛息・進次郎氏も、以前は「脱原発」を口にしていたが、最近はあまりその言葉を聞かなくなった。
「オヤジが言っていることだから、親子で同じことを主張してもしょうがないと思ってるんだろう。いずれにせよ、将来は『原発ゼロ』にせざるを得ない。やっぱり自然エネルギーだという声は、必ず大きくなる。それは、進次郎もわかっている」
進次郎氏といえば、世論調査で「総理大臣になってほしい政治家」として、毎回のようにその名が挙がった。だが、昨年9月の総裁選で、河野太郎氏を支持して敗れたこともあり、今は“下積み”を余儀なくされている。進次郎氏が「総理候補」として、再起する道はあるのか。
「それは運なんだ。(総理になれるかなれないかは)才能半分、運半分。でも、いちばん大事なのは信頼。ただ、進次郎は周囲の信頼を失っている状況だ。今は、しっかり信頼を取り戻すことだけ考えていればいい」
チャンスは必ずめぐってくる。父の言葉はそう聞こえた。現在の日本は、経済が低迷し、周辺国からの脅威にも晒されている。はたして希望はあるのか。
「幕末から明治の志士たちはまさに、今の痛みに耐えて明日をよくしようという精神を持っていた。ところが現代は、将来世代に痛みを背負わせようとしている。今度の選挙でも、公約はバラ撒きだらけだ。痛みの先送りに希望はない。だから『米百俵』の精神を取り戻すしかない」
日本人は自信を失っているようにも見えるが…。
「そうでもないよ。けっこう、みんな自信をつけてきてる。大谷翔平とか、スポーツ選手だけじゃない。経営者や芸術家も、どんどん世界に出ている。日本人には対応力があるんだよ。日本は必ずよくなる。もっと自信を持っていい」
「やればできる」が信条の小泉氏。父の意志を継ぐ進次郎氏は、総理として政策に結実できるか。