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統一教会、34年間で被害総額1237億円…教祖のサイン入り「聖本」1冊3000万円の衝撃
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.07.13 18:52 最終更新日:2022.07.19 14:13
7月8日に発生した、安倍晋三元首相への銃撃事件。逮捕された山上徹也容疑者は、警察の調べに対し、「特定の宗教団体に恨みがあった」と供述している。
山上容疑者を知る男性は、本誌取材に対し、山上容疑者が「自分の家族が統一教会に関わっていて、霊感商法トラブルでバラバラになってしまった。統一教会がなければ、今も家族といたと思う。統一教会は、安倍と関わりが深い。だから、警察も捜査ができないんだ」と語っていたと証言している。
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7月12日には、全国霊感商法対策弁護士連絡会が記者会見を開いた。宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に関して、連絡会が同日公表した資料には、こう書かれている。
《統一教会は長年にわたり霊感商法を組織的に展開し、常に社会問題を引き起こしてきた。そのため、昭和62年(1987年)5月には全国の弁護士約300名が集まり全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が結成され、現在に至るまで被害救済等の活動が続けられている。
令和3年(2021年)12月までの34年間に全国弁連所属の弁護士や消費生活センターが受けた統一教会に関する相談は3万4537件、被害総額は約1237億円にも上る。金銭収奪型のカルトにおいて、これだけ長期間かつ大規模に問題となった教団は他に無いと言って良い》
連絡会事務局長の川井康雄弁護士は、被害総額約1237億円も「あくまでも我々のほうで把握できている被害で、氷山の一角」と話す。
また、渡辺博弁護士は「聖本」を手に取り、こう語った。
「すべての財産は、神様、いまでいえば韓鶴子さんのもの。すべて捧げなさいというのが統一教会の教えですから、その結果、家庭崩壊になってしまうということです。
これは一冊の本ですが、3000万円です。常識はずれです。信者に1冊だけでなく、4冊も5冊も売りつける。こんな非常識なことがずっとおこなわれている。中身は文鮮明さんの『みことば』を印刷した本で、なんで3000万円もするかというと、文鮮明さんの署名があるからです」
そして、教団側が「2009年以降はコンプライアンス強化でトラブルはない」と主張したことに対して、こう反論する。
「2009年に『新世』という会社が印鑑を売りつけたということで、2名が懲役判決を受けました。
その後、統一教会の責任者が、自分たちの機関誌のなかで反省としてあげたのは『政治家との絆が弱かったから、警察の摘発を受けた。今後は政治家とつながっていかないといけない』と。
私どもがずっと国会議員のかたがたに『統一教会の応援をするのをやめてください』と働きかけている理由もそこにあります」
2009年の「新世」をめぐる事件では、ことさら不安をあおって印鑑等を売りつけたことが特定商取引法違反にあたり、「新世」に罰金800万円、社長には懲役2年(執行猶予4年)罰金300万円、営業部長には懲役1年6カ月(執行猶予4年)罰金200万円の判決が下されている。
連絡会の会見では、1998年、埼玉で開かれた集会の様子も流された。韓国経済が破綻した1997年の翌年におこなわれたこの集会では、教祖である文鮮明氏が大きな危機に直面しているとされ、信者1家族ごとにおよそ160万円の献金が求められたという。
旧統一教会の関連企業と団体は多岐にわたる。だからこそ、34年で被害総額約1237億円という巨額の数字になったのだろう。この件について、世界平和統一家庭連合に問い合わせたが、「特に回答することはございません」と答えるだけだった。
( SmartFLASH )