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「殺害予告メール」を受けた明石市長が語る「恩師・石井紘基」「市政運営に支障をきたす現状」

社会・政治 投稿日:2022.07.30 11:00FLASH編集部

「殺害予告メール」を受けた明石市長が語る「恩師・石井紘基」「市政運営に支障をきたす現状」

明石市の泉市長

 

 7月26日早朝、兵庫県明石市の泉房穂市長を脅迫する内容のメールが届いていたことが分かった。メールは、明石市とは別の兵庫県内の自治体に届いていた。

 

 メールには、8月末までに市長を辞職することを求めるとともに、安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者の名前を出し「辞職しないと強硬手段に出る。自作銃を作った。何発も撃って殺す」などと書かれていたという。

 

 脅迫メールが届いたことを受け、7月27日、泉市長は臨時の記者会見を開いた。

 

 

「私自身、かなりはっきりものを言うタイプであり、ある意味、賛同いただける方もいますけど、そうでない方もいる政治姿勢というか、スタンスで来た。こういったことがあると、たいへん戸惑う。安倍元首相の事件もありますし、私の場合は、恩師の石井紘基(衆院議員)が20年前に自宅前で刺殺された経緯もあり、ほかの方が思う以上に、私としては正直、怖さを感じます」

 

 会見後、泉市長は自身のTwitterで胸中を吐露している。

 

《脅されたからといって、辞職するわけにはいかない。もっとも、名指しされた者としては、心中穏やかではない。しばし言動には慎重を期す予定。ご理解のほど。》

 

 兵庫県警は、脅迫などの疑いなどで捜査を開始。泉氏の自宅周辺の警備を強化するとともに、差出人の特定を進めるという。

 

 泉市長が「恩師」と慕う石井紘基氏は、2002年10月25日、東京都内の自宅駐車場で暴漢に襲われ、左胸を刺されて命を落とした。

 

「民主党衆院議員だった石井氏は、特殊法人の無駄遣いや官僚の天下り、また、国の不透明な特別会計に切り込むなど、国政調査権を使った独自調査によって、一貫して権力の不正を糾弾してきました。

 

 襲撃されたのは、国会質問の前。襲われたときに石井氏が持っていた鞄からは、国会に提出予定の書類が消えていました。質問内容は不明ですが、石井氏は『これで与党はひっくり返る』と周囲に話していたといいます。襲撃した犯人は、事件から7年経過したあとメディアの取材に応じ、『頼まれてやった』と発言しています」(ベテラン政治部記者)

 

 脅迫メールが届いた7月26日、泉市長は奇しくも、こうツイートしていた。

 

《石井紘基さんに関する取材が、今日は2つ入っている。今から33年前、私は石井紘基さんと出会い、多くを学ばせていただき、石井紘基さんに説得されて、司法試験を受けることにした。まさに恩師だ。殺されてから20年、政治の闇は今も深い》

 

 2021年12月22日には、こうツイートしている。

 

《正義の強さと脆さを学んだのは、亡き石井紘基さんからだ。国の不正を追及する国会質問の朝、自宅前で刺し殺された。私は一番最初の秘書であり、その遺志を継ぐ政治家の一人だ》

 

 行動に制限がかけられているなか、泉市長が取材に応じてくれた。

 

「私は石井紘基の初代秘書を務め、事件のあと、奥様や、娘のターニャさんとも話しました。自宅に積まれた、膨大な量の段ボール箱に入った資料も見ましたが、どういうものか、まったくわからなかった。石井さんは秘密主義の人で、詳しいことは語らない人でした。事件の真相も分からないんです。

 

 今は市長室と自宅の往復です。出勤時も玄関先に警察がいて、公用車に乗り込むまで見守ってくれたりしています。自宅の玄関先には、防犯カメラも設置されました。パトロールも強化されています。安倍さんの事件で奈良県警が叩かれたから、兵庫県警もメンツにかけて対応してくれているのだと思います。

 

 ただ、イベントもキャンセルになり、市民と顔を合わせることができなくなってしまいました。昼食はよく、市役所2階の食堂を利用しているのですが、誰でも入れる場所のため、今はうどんを市長室に持ち帰って、市長室の机で食べています。不特定多数の人が集まるオープンスペースに行くなと言われているので、街中での挨拶や地域行事にも参加できないし、犬の散歩も近所へ買い物にも行けない状態です。

 

 Twitterでも、周囲を刺激するようなことは控えるよう、発言にも注意するよう警察から言われています。いつどこへ行く、ということはツイートできません。要するに、政治家としての行動、発言が制限され、市政運営に支障をきたしている状態になってしまっています。

 

 市議会では、市長が動けないことに乗じて私を叩こうとする動きがある。つまり『川崎重工の法人税がゼロだ』と私がツイートしたことを刑事告発するために『百条委員会』を設置した、自民党と公明党の市議たちによるものです。まあ、私にとって議会の主流派が反対勢力やから、それはいいんですけど。

 

『8月中にやめろ、さもないと自作の銃で殺す』なんて、時期まで明示されて脅迫されたのは、今回が初めて。これまでも脅されたり、捨て台詞で『殺すぞ』と言われたことはあったけど、この脅迫メールは質が違う。私は、カッコよく散りたくない。みっともなくても長く生きたい。

 

 愉快犯だと思うけど、安倍さんの事件の後だからものすごくリアリティがあるというか、本当に怖い。早く捕まってほしい。ふだんは歯に衣着せぬ物言いをしているけど、今は歯にガーゼを巻いて、きれいごとしか言えない。言論活動ができない状態です」

 

 泉市長が殺害予告を受けたことが報じられると、ネット上には泉氏の身を案じる声が多く上がった。

 

《間違ってることは間違ってると権力や圧力に負けないで発言してくれる強さ。愛情ある政策。全力で警察の方は守って、犯人見つけてください!》

 

《泉氏は、日本の政治に希望を持たさせてくれる数少ない政治家の1人だと思います。だから本当に身を守ることに注力して欲しい》

 

《泉市長のように、嘘がなく、真っ直ぐに市民のことを第一に考えられてる姿に胸が熱くなります。これだけ人気があると妬む人もいるんでしょうね…。とにかく市長の命を第一に守って下さるよう警察の皆さんお願い致します》

 

 腐敗に立ち向かった政治家の遺志を引き継ぐ人物に、同じようなことがあってはならない。

 

( SmartFLASH )

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