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野党が「臨時国会」要求も自民は拒否…憲法53条に規定されているのに、なぜ召集されないのか

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.08.18 16:40 最終更新日:2022.08.18 16:42

野党が「臨時国会」要求も自民は拒否…憲法53条に規定されているのに、なぜ召集されないのか

臨時国会の召集要求書を細田博之衆院議長(左)に手渡す立憲民主党の馬淵澄夫国対委員長(写真・時事通信)

 

 8月18日、野党は、臨時国会の召集を求める要求書を議長に提出した。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と閣僚らの「接点」が相次いで表面化しており、新型コロナウイルスや物価高への対策についても速やかに議論する必要があるとしている。

 

 要求書は立憲民主、国民民主、共産など野党5党が参加し、衆議院議員126名の連名で提出されたが、日本維新の会は加わっていない。自民党は早期召集には応じない構えだ。

 

 

 臨時国会の召集は憲法53条で決められているのに、なぜ要求に応じないですむのか――。

 

 憲法53条はこのように規定されている。

 

「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」

 

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏が言う。

 

「近年、政府は『憲法上、召集時期についての規定はなく、内閣の判断に委ねられている』として、召集時期を無限に後ろ倒しにすることで開催を拒否する姿勢を取ってきましたが、これはほとんど詭弁であり、許されることではありません。

 

 議会の要求に応じないことで、内閣総理大臣が三権分立を自分で壊してしまっている。議会を軽視した権力の乱用に当たります。

 

 2020年6月、安倍政権でコロナ対策費10兆円の予備費を補正予算で積み増して以来、国会軽視が当たり前になってしまった。岸田政権も、安倍政権の負の遺産を取り込んでしまっているわけです」

 

 実は、2017年6月、「森友・加計学園問題」問題の審議のため、臨時国会の召集を野党議員が求めたが、3カ月あまりにわたって召集しなかったことがある。

 

 このことが憲法違反かどうか争われた裁判で、2022年2月、東京高裁は、1審に続いて憲法判断を示さずに原告の訴えを退けた。事実上、臨時国会の召集時期は、内閣の判断に委ねられているわけだ。

 

 野党第一党である立憲民主党の国会対策委員会(国対)の本気度も問われている。

 

「臨時国会の召集時期は、与野党の国対が話し合うものです。ところが8月上旬の臨時国会をたった3日で終わらせてしまうなど、野党第一党の立憲の国対があまり本気じゃなかったという面もあります。

 

 また、今回、日本維新の会が臨時国会召集の要求に加わらなかったのは、野党共闘に参加しない『ゆ党』(「や」党でも「よ」党でもない曖昧な立場)を続ける方針を露呈してしまった。

 

 今回は、旧統一教会と閣僚・自民党との関係性の問題もある。召集すべきですよ。

 

 そもそも、自民党がここまで憲法違反を続けながら、憲法改正を主張しても説得力がない。まず憲法を守ったうえで、こういう不具合があるから変えていかなければならない、と主張すべきです。憲法違反を繰り返していては憲法改正に説得力を持ちません」(同)

 

 野党5党が臨時国会召集を要求したことに対し、ネット上でも、臨時国会を開催すべきという声が多く上がっている。

 

《臨時国会を招集し、解決に向けて行動する国会議員は信じる。臨時国会の招集を不必要とする国会議員は現状信頼できない》

 

《憲法に明記された権利、義務を政府与党が無視をするということは大きく言えば法治国家たる日本への反逆です。絶対に許せません》

 

 安倍政権から始まった国会軽視の動きを、いまこそ止めさせるべきだ。

 

( SmartFLASH )

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