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新たな脅威!ビデオで自爆テロを促す「ビン・ラディンの息子」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.06.02 11:00 最終更新日:2017.06.02 11:00
英国のマンチェスターを襲った自爆テロの悪夢が冷めやらぬ折、フィリピンのミンダナオ島でもイスラム過激派による自爆テロが頻発。すると今度はアフガニスタンの首都カブールでバキュームカーを装っての自爆テロだ。死者80人、負傷者350人を超す大規模なもの。日本や英国、ドイツなど各国大使館が密集し、治安対策が厳重に行われていた地域での惨事に、世界が衝撃を受けている。
アフガニスタンといえば、かつて侵攻してきたソ連軍を撃退する目的でアメリカのCIAの支援を受けたウサマ・ビン・ラディン率いるアルカイダが跋扈した地域である。イスラム教徒にとっては神聖なラマダン(断食)の時期が始まっており、聖戦(ジハード)と称して更なるテロが各地で発生する恐れが強まっている。
実は、そうした自爆テロを促すビデオが急速に広がっていた。しかも、そのメッセージを伝えているのは、ウサマ・ビン・ラディンの息子ハムザ・ビン・ラディンである。正確な年齢は不明だが、28歳前後と見られ、父親を彷彿とさせる風貌で、声もそっくり。幼い頃から、スーダンやアフガニスタンで父親から多くの教えを学んだ。4人の正妻との間に15人の子供をもうけたビン・ラディンが最も手塩にかけた息子と言われる。
2011年、パキスタンの隠れ家で父親や兄弟がアメリカの特殊部隊シールズに殺害されたとき、危険を察知した父親の指示で、別の場所に逃れていた。FBIの情報によれば、「過去2年間、アルカイダはハムザのメッセージを折に触れ流してきた。ロンドン、パリ、ワシントンでのテロを呼びかける内容だった」という。
最も新しいメッセージ(アラビア語に英語の字幕付き)が発信されたのは、この5月14日のこと。マンチェスターの自爆テロの起こる直前だ。メッセージは10分ほどのものだが、以前より内容が具体的だった。曰く「狙う相手(ターゲット)を完璧に選べ。そうすれば、最大の被害を敵に与えることができる。爆弾や重火器を問わず、あらゆる手段を使い、敵のジャングルに潜り込み、攻撃せよ」。
更には「攻撃する相手は信仰心のない人間、ユダヤ人、アメリカ人、ロシア人、そしてNATOのメンバー国だ。周囲に細心の注意を払い、疑われないように行動せよ。自信を持って、敵の裏をかけ。被害が大きいほど、メディアが大きく取り上げる。そうすれば聖戦が世界に広がる。これは父ウサマ・ビン・ラディンの無念を晴らすことになる。
また、アメリカの無差別空爆によって殺された無辜の民の怨念を晴らすことにもなる」。
明らかに父親を殺害したアメリカへの復讐心を煮えたぎらせた宣戦布告といえるだろう。
ウサマ・ビン・ラディンの書き残した手紙には次のようなくだりがあった。
「わが息子ハムザにはムジャヒディンの血が流れている。彼らの思いや悩みを胸に、イスラムの国とも力を合わせることができる」
タリバンとアルカイダに加え、イスラム国などとのテロ組織連合が生まれるとなると、世界は破滅の道を進むことになりかねない。日本にとっても他人事ではないだろう。対抗すべきは北朝鮮の核ミサイルだけではない。
(国際政治経済学者・浜田和幸)