1997年に兵庫県神戸市で起きた、連続児童殺傷事件のすべての事件記録を、家庭裁判所が破棄していたことを「神戸新聞」が報じた。その後、複数の少年事件の記録が同様に破棄されていたことも判明し、批判が高まっている。
現在、ほかに事件記録が破棄されていたことが報じられているのは、以下の事件だ(肩書きは事件当時のもの)。
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・2000年に愛知県豊川市で、高校3年生の男子生徒が金槌と刃物で64歳の女性を殺害し、その夫を負傷させた事件
・2000年に岡山県邑久町(現・瀬戸内市)で、高校3年生の男子生徒が金属バットでほかの生徒4人を殴打して負傷させ、自宅で母親を撲殺した事件
・2003年に長崎市で、中学1年生の男子生徒が4歳の男児を誘拐し、立体駐車場から突き落として殺害した事件
・2004年に長崎県佐世保市で、小学校6年生の女児がカッターナイフで同級生を殺害した事件
「神戸市の事件で『酒鬼薔薇聖斗』を名乗った少年が書いた『さあ、ゲームの始まりです』という“挑戦状”や、豊川市の事件で加害少年が供述した『人を殺してみたかった』という殺害動機は、当時、世間を震撼させました」(週刊誌記者)
最高裁判所の「少年調査記録規定」では、少年事件の捜査書類や審判記録は、少年が26歳に達するまで保存し、以下の条件を満たすものについては、永久保存の対象になっている(関連する項目を抜粋)。
・世相を反映した事件で史料的価値の高いもの
・全国的に社会の耳目を集めた事件又は当該地方における特殊な意義を有する事件で特に重要なもの
・少年非行に関する調査研究の重要な参考資料になる事件
今回、破棄されたものは、いずれも事件当時、大きく報じられ、社会問題になった事件だ。それだけに、破棄されていたことが衝撃を持って受けとめられている。
作家の盛田隆二氏は、神戸の連続児童殺傷事件について《刑罰対象が14歳以上に引き下げられた重大事件にも関わらず、神戸家裁は複写も残さず廃棄。信じ難い失態》とツイートしたほか、ネット上では以下のような批判の声が投稿された。
《長崎家裁でも少年による二つの重要事件の記録を全て廃棄してたとのこと。しくみが機能していないのが明らかですけど、それ以前に日本全体で「記録」の軽視がひどすぎる》
《記録が失われたことにより今後、調査も検証も出来なくなることを考えれば、あまりに重大な事態ではないか》
《神戸のみならず長崎や愛知の事件も破棄された。なんてことだ。忘れられて良い事件でないだろう》
最高裁が想定していた「世相を反映した事件」「社会の耳目を集めた事件」とは、いったいどのようなものだったのだろうか。
( SmartFLASH )