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岸田内閣に浮かんでは消える「改造を検討」報道 透けて見える自民党と官邸の“ボロボロ”な関係
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.11.26 16:40 最終更新日:2022.11.26 16:41
11月24日、岸田文雄首相(65)は、報道陣から年末年始に内閣改造や党役員人事をおこなう可能性を問われ、「私自身、そうしたことはまったく考えていない」と否定した。
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関わりを指摘されていた山際大志郎前経済再生担当相(54)の辞任を発端に、失言や政治資金の問題が浮上した葉梨康弘前法相(63)、寺田稔前総務相(64)も相次いで辞任。
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いわゆる“辞任ドミノ”となり、窮地に立たされた岸田首相は、11月19日のタイへの外遊前、内閣改造について「難度の高い課題に挑戦していくために、どうあるべきなのか。適切なタイミングを首相として、判断していきたい」と示唆していた。
すると、堰を切ったように「内閣再改造検討」の報道が相次いだ。
最初は11月21日に「毎日新聞」が「年内に内閣再改造検討」と報じたが、同日の記者会見で松野博一官房長官(60)が報道を否定。
しかし、23日に「朝日新聞」が今度は「内閣改造を検討、年明け以降にも」と報じた。冒頭の岸田首相の発言は、この報道を否定した形だ。
いずれの報道も「複数の政権幹部が明かした」とされていたが、わずか2日の間に「内閣再改造」が2度も浮かんでは、官邸側の否定で消えた。こういった報道が続くのは、政権が揺らいでいる証拠にほかならない。
さらに、すでに閣僚を降りた3人だけでなく、秋葉賢也復興相(60)には、次男が秋葉氏の名前が書かれたタスキをかけて選挙応援をしていた「影武者問題」が浮上。寺田氏から代わったばかりの松本剛明総務相(63)には、政治資金疑惑と同時に国会での居眠り疑惑も浮上している。
この“問題児ツインズ”を抱える内閣が心許ないのは明らかだ。
内閣改造は政権にとって「解散総選挙」の次の切り札であり、実際に2021年9月、菅義偉前首相(73)が退陣を表明した際も「改造検討報道」が相次いだ。しかし改造は実行されないまま、菅氏は首相の座を降りることになった。
今回の報道合戦について、永田町関係者はこう話す。
「自民党幹部から『年末か年始に内閣改造をおこなって、問題閣僚を一掃し、目先を変えて1月召集の通常国会に臨むべきだ』との発言が出たのは、事実です。
ただ、首相側が『できるわけがない』と否定的なんです。旧統一教会との関係を精査したうえで、党内バランスも考えた人選を、そんな短期間におこなうのは難しいということでしょう。
今回の報道は、自民党幹部から『内閣改造検討』をオフレコで流して、官邸側が否定しているというのが実態です。
それは党と官邸側の連携がボロボロになっているという証拠にほかなりません」
この関係者いわく、自民党内部からは「年末か年明けに解散総選挙に打って出るべし」という強硬論も一部から出て、岸田首相がいなしている状態だという。
「前政権のときとは段違いにボロボロな状態ですよ」と、話すのは自民党関係者だ。
「菅さんが退陣したときは『まだ続けたい』という官邸側が、内閣改造を検討していました。それに対して、自民党側が『もう君たちでは無理だ』と“解雇通達”を出したようなもの。
しかし、今回は党から内閣改造の話が出たのと同時に、『秋葉さんが持ちこたえれば、安泰かもしれない』という声まで聞かれており、足並みがまったく揃っていません。安泰とは、旧統一教会への被害者救済法案や質問権行使は着実に進んでいるので、それで内閣支持率は浮上するのではということです。
そんな楽観論が出るのも、やはり、岸田首相の代わりがいないからです。“岸田おろし”をしそうなのも、菅前首相と二階(俊博)さんの2人くらいで、実際に動いたところで、無理筋な話です。
あとは麻生(太郎)さんが、本気で河野(太郎)さんを首相候補に推して、育て上げる可能性ですが、麻生さんはいまだに『当面は、岸田首相を支えていく』という考えが強いと聞いています」
運がいいのか、「FIFAワールドカップ カタール2022」は予想を上回り、盛り上がりを見せている。
歴代最長政権を敷いた故・安倍晋三元首相は、オリンピックなどで活躍した選手に対して、「国民栄誉賞」を授与するという「切り札」も使っていた。
内閣改造も封じ、旧統一教会への対応“一本槍”で、ボロボロ状態の岸田政権と自民党が、この「切り札」に頼ることがあるかもしれない。
写真・長谷川 新
( SmartFLASH )