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「それってあなたの…」園児の“ひろゆき風”挑発に思わず!“虐待まみれ”の限界現場を保育士が語る

社会・政治 投稿日:2022.12.23 20:21FLASH編集部

「それってあなたの…」園児の“ひろゆき風”挑発に思わず!“虐待まみれ”の限界現場を保育士が語る

虐待事件が起きた私立「さくら保育園」に家宅捜索に入る静岡県警(写真・時事通信)

 

 保育士による園児への虐待が相次いでいる。

 

 静岡県裾野市の私立認可保育園「さくら保育園」で、3人の女性保育士(当時)が、2022年6月~8月上旬にかけて、園児を倉庫に閉じ込める、容姿を馬鹿にする、カッターナイフで脅すといった虐待をおこなっていたことが発覚。男児の頭を殴ったり、足を掴んで中吊りにした暴行の疑いで逮捕された。

 

 

 さらに12月16日には、東京都日野市が、同市にある「吹上多摩平保育園」にて、「いいかげんにしろ!」「早く人間になれ!」などと大きな声で怒鳴る、園児の手を叩く、懲罰と称して、部屋に置き去りにするといった虐待行為があったと発表した。

 

「正直、虐待してしまう気持ちはよくわかります。私は手を挙げたことはありませんが、『もうご飯なしね!』なんて脅すようなことを言ってしまうのは日常茶飯事です」

 

 と語るのは、中部地方で3歳未満のクラスを担当する20代の女性保育士だ。

 

「あまりに強い言い方をして、園長に怒られたこともあります。でも、とくに年齢が上がってくると、こちらをイラッとさせるような子供も出てくるんです。『バカ』とか『アホ』ならまだしも、YouTubeで見たのか、ひろゆきをマネして『それってあなたの感想ですよね?』と口答えしてきたりする子供もいて…。

 

 私には今2カ月になる子供がいて仕事を休んでいるのですが、自分が親の立場になると、保育現場のリアルを知っているだけに預けるのが不安です。矛盾しているかもしれませんが、虐待される可能性はいつでもあるので」

 

 また別の保育士は、実際に園内で“虐待現場”を目撃したことがあるという。

 

「私の園では、園児全員が集まってお昼寝をする時間があるのですが、落ち着きのない子供がいたりすると、布団ごと外に出して、部屋を締め切って入らせないようにする先生がいます。もちろん、子供は泣きますが、ベテランの先生なので誰も注意できず…。

 

 全クラスが集まるので、先生は自分の担当するクラスの子供が迷惑をかけないように焦ってしまうんですよ」(都内の保育園で年長クラスを担当する20代の女性保育士)

 

 怪我があっても、真相がわからないケースも多い。

 

「一度、3歳未満のクラスにいる子供が、皮膚をつねられた痕と、チャックが皮膚に食い込んだ痕を残して帰って来たと、保護者から問い合わせがありました。担任の先生は、ふだんからコミュニケーションを取るのが苦手だったのですが、園側が『なんで怪我をしたんですか?』と聞くと『虐待なんてしていません!』と言い、翌日に辞めちゃいました。

 

 怪我の原因はいまだに不明ですが、未満児だと何をされたのか話せないので、保護者に知られることはないし、証拠も残りませんからね。表沙汰になっていない虐待事件は、無数にあると思います」(同前)

 

 また、保育士に“暴力”を振るう園児もいる。

 

「20人のクラスを見ていますが、言うことを聞いてくれない子供が1人か2人は必ずいて、なかには先生のことを殴ってくる子供もいます。園児なのでこちらが怪我をすることはありませんが、ストレスは溜まりますよね。

 

 そういう子供は、家庭に問題があるケースが多いです。いつも騒いで反抗的なのに、お父さんが迎えに来ると、別人のように静かになるんです。そして、その子供が先生に『バイバイ』『さよなら』などの挨拶しないと、お父さんが目の前で子供の頭を叩いたりするんですよ。暴力的な子供は、親のしぐさを真似している可能性がありますね。そういう園児を、園内だけでなんとかするのは限界があります。やはり、家庭での教育が大事ですよ」(都内の30代の女性保育士)

 

 多くの保育士が、虐待問題が起きる背景には、保育園や幼稚園での人手不足があると口をそろえる。

 

「私が1年めのとき、人手が足りなさ過ぎて、50人の園児が外で遊ぶのを、一人で見ていたことがあります。

 

 そのとき、一人の園児が、肩を脱臼したことに、気がつかず、後から問題になりました。主任に『どうして防げなかったんだ』と詰められたのですが、一人じゃどうしようもないですよ。基本的に、主任や園長といった管理職は現場に出ないので、事故や虐待が起きうる現場をわかっていないんです。それでいて、私たちの給料は手取りで月15万円ですからね。やってられませんよ」(前出・中部地方の保育士)

 

「たった一人で多くの園児を相手にしていると、精神的にも参ってしまいます。私はストレスから体調を崩し、帯状疱疹ができて退職しました。人手不足によるストレスのはけ口が、子供へと向かってしまうことがあるのでしょう」(30代の元保育士)

 

 現場の声を聞けば聞くほど、悲惨な保育現場の現状が浮かび上がってくる。人手不足を解消しない限り、虐待を受ける子供たちの数が減ることはなさそうだ。

 

写真・時事通信

( SmartFLASH )

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