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岸田首相の施政方針演説「歴史の分岐点」「歴史的な使命」多用されるフレーズが「響かない」語彙貧困問題

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.01.24 16:00 最終更新日:2023.01.24 16:00

岸田首相の施政方針演説「歴史の分岐点」「歴史的な使命」多用されるフレーズが「響かない」語彙貧困問題

施政方針演説に臨む岸田文雄首相(写真・長谷川 新)

 

 1月23日、岸田文雄首相は衆参両院本会議で、施政方針演説をおこなった。

 

「近代日本にとって、大きな時代の転換点は2回ありました。明治維新と、その77年後の大戦の終戦です。そして、奇しくもそれから77年が経った今、我々は再び歴史の分岐点に立っています」

 

「『歴史の分岐点』を迎える中、普遍的価値に立脚しつつ、国益を守り抜くため、積極的かつ力強く、新時代リアリズム外交を展開していきます」

 

「この日本という国を、次の世代に引き継いでいくために、これからも、私に課せられた歴史的な使命を果たすため、全身全霊を尽くします」

 

 

 日本がいま「歴史の分岐点」に立っていることを強調しながら、最後は演説を「歴史的な使命を果たす」と締めくくった。

 

「歴史の分岐点」「歴史的な使命」は、これまでも岸田首相がよく使ってきた言葉だ。

 

 2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻以降、「歴史の分岐点」という言葉が頻出する。

 

 2022年3月14日には「東京会議2022」にあたってのメッセージで「世界はいま、歴史的分岐点に立っています」。2023年1月4日の年頭記者会見では「いま、世界、そして日本は、経済についても、国際秩序についても歴史の分岐点を迎えています」。確認できただけでも計9回、岸田首相は「歴史の分岐点」という言葉を発している。

 

「歴史的な使命」に関しては2022年9月28日、「Gゼロサミット」に関するメッセージで、「アジアにおける唯一のG7国である我が国は、G7とアジアの架け橋として、歴史的な使命を担っていることを前提に臨みたいと考えています」。2022年10月27日、「令和臨調」に出席し、「新しい資本主義の実現と、国際秩序の立て直しを目指して、我が国と世界の課題を解決することが、岸田政権に与えられた歴史的な使命であると申し上げました」とあいさつしている。

 

「歴史の分岐点」「歴史的な使命」という言葉を岸田首相が多用することについて、歴史学者の濱田浩一郎氏が解説する。

 

「首相という存在自体が、『歴史的な役割が自分にはある』と思い、『歴史を前に進める』と考えながら、政治をやる存在だと思います。ですから、歴代の首相も『歴史的な』という言葉は使ってきていると思います。

 

 ただ、岸田首相に関しては、その意識が前面に出すぎて、使いすぎているのではないか。よくいえば生真面目、悪くいうと自意識過剰という面もあると思います。

 

 岸田首相は『検討してまいります』という言葉を多用し、『検討使』のイメージが定着してしまった。それを挽回するためにも『歴史的な使命』という言葉を多用するようになったのではないでしょうか。

 

 もちろん、ロシアによるウクライナへの侵攻という事態があったことは間違いありません。自分が歴史的な分岐点に立っているという意識もあると思います。

 

 ただ、その言葉が響かないのは、『検討使』のイメージが強く、まだ結果が出ていないから。『歴史の分岐点』『歴史的な使命』という言葉が響くかどうかは、今後、岸田首相がどれだけ本気で取り組み、行動に移すかにかかっていると思います」

 

 岸田首相の「歴史の分岐点」「歴史的な使命」という言葉が、国民に響くときは来るだろうか。

( SmartFLASH )

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