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日銀新総裁に植田和男氏 本誌が直撃していた審議委員時代の「賃貸なら100万円」豪華社宅からの通勤姿

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.02.11 18:34 最終更新日:2023.02.11 21:25

日銀新総裁に植田和男氏 本誌が直撃していた審議委員時代の「賃貸なら100万円」豪華社宅からの通勤姿

2000年4月、日銀の豪華社宅から出勤する植田氏を直撃。取材の翌週、約束どおり引っ越した

 

 政府は2月10日、日本銀行(日銀)の新総裁に、元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を登用する方針を明らかにした。現総裁の黒田東彦(はるひこ)氏は、4月8日で任期満了となる。

 

 日銀総裁は、これまで日銀出身者か財務省出身者でほぼ占められ、植田氏が就任すれば、戦後初の学界出身者となるサプライズ人事だ。

 

 

 当初、取り沙汰された候補者のなかには名前がなかったため、「植田さんって誰?」という議員の声も報じられている。植田氏が東京大学経済学部教授を務めていた2000年代に、ゼミに参加した卒業生は「声が小さいという印象だけ覚えている」と語る。

 

 黒田現総裁の大規模緩和策をいかに引き継ぐか、注目される植田氏だが、氏が日銀審議委員を務めていた2000年、本誌は自宅で直撃したことがある。

 

 東京都目黒区内の高級住宅地にあるその自宅は、当時、物議を醸していた。豪華な社宅が世論の批判を浴びた日銀は、順次、社宅の売却を進めたが、植田氏はまだ残る社宅のひとつに住んでいたのだ。

 

 その豪邸は土地約220坪、建物約40坪の2階建てで、地元不動産業者による2000年時点の試算では「売買価格は約6億円で、賃貸なら100万円でも借り手がつく」ということだった。

 

 しかし、植田氏が支払っていた家賃は、わずか27万円だった。本誌は豪邸に格安入居していることについて、迎えのハイヤーに乗り込む植田氏を追及すると、次のように回答した。

 

「税法上、問題はないし、悪いことをしているという気持ちはまったくありません。以前、住んでいたマンションがちょうど契約更新の時期で、子供の学校に近いこの辺を探していたら、日銀のほうからここが空いているからどうぞ、と言われ、入りました。

 

 建物は古いですし、家賃は妥当だと思いますが。庭が広いといわれても、とくにメリットは感じていません。ただ、こうやって取材に来られるということは『問題ではないのか』という意見をお持ちの方がおられるんでしょうし、『植田は日銀に都合のいいように意見を曲げているのではないか』と見られるのも嫌ですし、このことによって日銀全体が疑義を持たれることはまずいだろうということで、来週にも引っ越す予定です」

 

 日銀の社宅家賃については、国税庁通達に基づく「適正家賃」が適用され、その金額以上の家賃を徴収していれば、税務上の問題はないとされている。通常、周辺の家賃相場よりもかなり低額になるように決められるため、27万円という格安の家賃でも基準を満たしていたのだろう。

 

 このとき、本誌は日銀経営企画室にもこの豪華社宅について質問しており、以下の回答を得ている。

 

「(日銀の審議委員が)団地型の住居というわけにもいかんでしょう。空いていたのでちょうどいいのではないか、ということでご提供しました。よかれと思ったんですが、かえって植田さんに悪いことしちゃったかな」

 

 また当時、植田氏の審議委員としての年収は、約2900万円だった。このことについて同経営企画室は「審議委員は常勤ですし、かなりの激務なんです。けっしてそんな(高すぎる)ことは……」と説明した。

 

 果たして植田氏は、その言葉どおり、すぐに社宅から引っ越した。金融政策でも、いさぎよい有言実行を期待したいところだ。

( SmartFLASH )

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