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「梅毒」都内で急増、10年前に比べ男性9倍、女性は41倍に!…感染経験者は「死を覚悟した」と恐怖を語る

社会・政治 投稿日:2023.03.04 16:15FLASH編集部

「梅毒」都内で急増、10年前に比べ男性9倍、女性は41倍に!…感染経験者は「死を覚悟した」と恐怖を語る

小池都知事も梅毒の感染拡大を危惧

 

 都内で、「梅毒」の感染報告数が急増している。2月17日におこなわれた小池都知事の定例会見でも、「最近、問題となっているのが梅毒」との発言があったほどで、東京都は、3月3日から無料検査所を開設した。料金は無料で、1時間ほどで結果がわかるという。

 

 梅毒は全国的に増えており、国立感染症研究所の調査では、2022年に国内で報告された感染者数は1万3000人ほど。深刻なのが東京都で、2016~2020年は1700件前後で推移していたが、2022年は3677件と、一気に2倍強となった。これは、1999年の調査開始以来、最多の報告数だ。

 

 

 男女別に見ると、男性が2291件、女性が1386件。10年前の報告数と比較すると、男性がおよそ9倍(2012年263件)なのに対し、女性はおよそ41倍(2012年34件)と、女性の感染報告が急増していることがわかる。

 

 年代別では、男性は20代から50代まで幅広い層で患者が増えているが、女性は20代と30代が75%を占めており、特に多いのが20代前半だ。

 

「もともと梅毒は、男性同性間の性交渉で感染することが多い性感染症だったため、男性が多かったのですが、現在は『風俗で働いている女性、もしくは風俗を利用している男性』の病気となりました。そのため、若い女性が増えたのだと思われます」

 

 そう語るのは、都内で数多くの梅毒患者を診ている「プライベートケアクリニック東京」東京院の小堀善友院長だ。

 

 主に、性行為によって粘膜や皮膚の小さな傷から感染するとされる梅毒。一説には感染者とのコップや箸の使い回し、またくちびる等に「梅毒」の病変がある場合は、キスでも感染するという話もあるが――これに関して小堀院長はこう否定する。

 

「梅毒は、基本的には性行為で感染します。口淫で感染することはありますが、キスだけで感染することはほとんどありません。ただし、口に病変がある場合は感染の可能性もあるので、注意が必要です。コップや箸の使いまわしでは感染しません。いたずらに不安をあおることはしないほうがいいと思います」

 

 梅毒が厄介なのは、感染してもほとんど症状がなく経過するため、感染した本人も気づかないまま病気が進行し、無自覚に他人に感染させてしまう点だ。そして、本人は感染後およそ1カ月で、発疹やしこりなどができて、初めて異変に気づくという。

 

 今年1月に感染したOさん(36歳)の場合も、ある日、突然の発覚だった。

 

「お酒を飲んでいたら、急に発疹が体中にワーッと出たんです。『うわ! なんだ、これ』となりまして。

 

 発疹以外の症状としては、性器がただれて真っ赤になったり……これが、めちゃくちゃ痛いんですよ。尿道からはウミが出てくるし、亀頭は膿んで真っ白になってくるし、性器がぽろっと落ちるんじゃないかと思ったくらいで……。

 

 梅毒の毒は体中に回るらしくて、厳密には内臓だと思うんですけど、脇腹も痛くなってくるし……。とにかく『これはただごとじゃない! ヤバい!』と焦って、すぐに病院に行きました」

 

 病院では血液検査をされ、2日後に告げられた結果は梅毒だった。

 

「結果を待つ2日間が本当に恐怖でした。友達に『いま体中に発疹ができてて、血液検査の結果待ちなんだけど、これは普通の病気じゃないと思う。もしかしたら俺、死ぬかもしれない』と電話で伝えたほどです」(同)

 

 病院では、性的パートナーの有無や感染経路の心当たりも聞かれた。

 

「彼女もいないので、感染経路はデリヘルしか思い当たりませんでした。パッと見、ヤバそうな感じの子でもなかったので、ハッスルしてしまって(苦笑)。それが11月の出来事で、症状が出たのは1月。2カ月経ってからです。

 

 梅毒と診察されてからは、病院でもらった抗生物質を毎食後に飲んで、なんとか来月には治りそうなところまで来ています。僕は独身なので、それほど不都合もなかったですけど、奥さんがいたらと思うとゾッとしますね」(同)

 

 Oさんの場合は完治も見えてきたとはいえ、梅毒が怖いのは、1度かかった人は再発リスクが高くなるという話も聞かれる点だ。

 

「僕が聞いたところでは、完治はするけど、菌は体に残ってしまうので、ちょっとしたことで再発するとか。だから、ずっと持病みたいな感じで付き合っていくしかないみたいですね……」(同)

 

 しかし、これに関しても前述の小堀院長は否定する。

 

「治癒後にかかりやすくなることは絶対にありません。もちろん、治療後に梅毒の人と性交渉したら、再感染することはあります。TPという梅毒の抗体は一生陽性となりますが、RPRという梅毒の活動性を示す値は0にまで低下する場合が多いです」

 

 Oさんの認識とはかなり相違があり、どうやら梅毒に関しては、誤った情報がかなり流布されているようだ。小堀院長が続ける。

 

「基本的には、適切な時期に検査を受けて、適切な治療を受ければ完全に治癒するので、怖い病気ではありません。しかし、『the great imitator(偉大な偽装者)』の異名を持つほど、さまざまな病態を引き起こし、診断が難しいことがあるので、注意が必要です。

 

 たとえば、全身にできた皮疹だけを見れば『蕁麻疹』を疑う場合が多く、『3カ月前に風俗に行った』というエピソードを聞かなければ、梅毒を疑うことはあまりありません。ある程度病気を推測しなければ検査もできないので、診断が難しいのです」

 

 厚労省や各自治体は、感染防止対策として「コンドームを正しく使うこと」を呼びかけているが……。

 

「コンドームで予防はできますが、100%防ぐことはできません。心配な性行為があったら、性交渉後、4~6週間ほどで検査を受けることをおすすめします」(同)

 

 男女とも、くれぐれも注意されたし。

( SmartFLASH )

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