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「藤井聡太」4万円の『大山康晴全集』を読んで将棋を研究
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.07.26 06:00 最終更新日:2017.07.26 06:00
前人未到の最多連勝記録を打ち立てた藤井聡太四段(14)。天才棋士の“将棋脳”は、どう鍛えられてきたのか。几帳面に整理された書棚に、その答えが詰まっていた。かつて、藤井四段の部屋を訪れた、『将棋世界』編集長の田名後健吾氏はこう語る。
「将棋についての知識のすべてが、書棚に詰まっているといえます。部屋には、将棋盤とパソコン、将棋の本が並んだ書棚しかありませんでした」
藤井四段といえば、読書家で知られる。愛読書には、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』、沢木耕太郎の『深夜特急』と、渋い書名が挙げられていたが……。
「ご両親が読んでいた本をたまたま読んだだけと言っていました。やはり、将棋のことしか頭にないようですね」
藤井四段の本棚は大きく分けて四つのゾーンに分かれている。まずは『将棋世界』ゾーン。ここには、生まれる前のバックナンバーも。
「いずれも手垢がつくほど読まれていました」(田名後氏)
次に詰将棋ゾーン。こだわりがあるという『詰将棋パラダイス』をはじめ、詰将棋の本や雑誌がぎっしり。
続いて先輩棋士ゾーン。羽生善治三冠など、先輩棋士の定跡書が多い。対戦相手となる棋士たちの研究に余念がない。
最後は、古典ゾーン。幕末の棋聖・天野宗歩、巨匠・大山康晴十五世名人などの古典・近代の実戦集から学んでいるようだ。
将棋専門の月刊誌『将棋世界』、詰将棋関連本、そして実際の対局を再現した実戦集。そのなかでも、棋界で古典とされる本が目を引く。
「取材時には、十五世名人の『大山康晴全集』全3巻のうち、1巻が見当たりませんでした。ですが後日、藤井四段は、『1巻が見つかりました』とわざわざメールを送ってきました(笑)」
『大山康晴全集』は、発売当時4万円近い高価本で、現在は絶版だ。気になる将棋本の購入費はどう賄ったのか。
「ほとんど両親に買ってもらったのでしょう。1回大会に出ると1冊買っていい、という藤井家のルールもあったようです。先輩棋士にもらったものもあると言っていましたよ」
勝利が続けば対局料も上がる。将棋本を好きなだけ買える日は、遠くない。
(週刊FLASH 2017年7月18日号)