コロナ禍で急増した「無人販売店」。餃子や、焼き肉用の肉などを売る「食材販売」を近年、目にしたことがある人も多いのではないだろうか。無人販売大手の「餃子の雪松」は、全国でじつに432店舗(2023年2月2日現在)を運営するほどで、増加の一途をたどっている。
「コロナの流行により、飲食店の経営が行き詰まったことで、“苦肉の策”で始めた業態でした。とはいうものの、1坪もあれば開店できる手軽さと、24時間営業ができて人件費もかからないコスパのよさ、さらには『非接触』が、客に安心感を与えたことから注目され、増加しました。いまでは、古着や日用雑貨を扱う無人販売店もあります」(流通関係者)
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しかし、かねてから問題視されているのが「万引き犯」の存在だ。金を支払うフリをして払わず持ち帰ったり、なかには、大きなバッグにごっそり品物を入れ、すぐに帰ってしまうも“強行犯”もいて、その様子はたびたびニュースなどで報じられている。
2月、広島ホームテレビは、冷凍食品などを販売する、広島市中区の無人販売店に設置された防犯カメラの映像を報じている。この客が袋に入れたのは、手羽中やカキ串など5点、あわせて5400円分の商品。だが報道によれば、実際には1040円しか払われていなかった。
当然だが、店内には防犯カメラが何台も設置されている。カメラが設置されていることを伝えるポスターなども貼られており、万引きには厳しい“目”が向けられていることがわかる。しかし、なぜ犯人たちは行為に及んでしまうのか。犯罪心理に詳しい、東京未来大学の出口保行教授はこう語る。
「無人販売店は『匿名性』が高く、犯罪者は、防犯カメラが設置してあったとしても『自分が誰であるかはわかるはずがない』という意識が強く働くのです。こういった場合、防犯カメラが犯行を抑止するように機能しません。
ですが、こうした犯行は、従来から犯罪にふれていない、犯罪の“素人”がおこなうもの。前歴がある者は、自分にかかる情報が捜査機関に掌握されているので、防犯カメラに映ることを嫌い、短絡的な発想で犯行に及ぶことは少ないです」
これまでの無人販売店の万引き報道を見ても、何度も同じ店で盗むなど、用意周到さはカケラも見られないケースが多い。「バレるはずがない……」そんな軽い気持ちなのかもしれないが、カメラはしっかりと見ているのだ。
( SmartFLASH )