東京商工リサーチは、3月30日、食品メーカー200社の4月からの価格改定・値上げに関する調査を公表した。
価格改定を公表した企業は全体の7割に及び、4月は5075品目の値上げが予定されている。これは、2月の5470品目に次ぐ数字だという。
商品ごとで見ると、食用油が26.0%、冷凍食品14.4%、加工食品13.0%、麺類12.7%、飲料・酒12.3%、大豆製品12.0%、調味料11.7%と、多くの商品で1割以上の値上げになる。
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庶民の生活は圧迫されるばかりだが、政府は2023年度の税収を、法人税収の増加などで69兆4400億円を見込んでいる。これは新型コロナ禍で落ち込んだ企業の業績が回復傾向にあるためだが、前年度より4兆円以上増え、過去最高なのだ。これだけ「好景気」なのに、なぜ生活は楽にならないのだろうか。
「政府の税金の使い方がめちゃめちゃ悪いからです」と経済ジャーナリストの荻原博子氏が指摘する。
「コロナ禍の影響で仕事が立ち行かなくなり、困っている方が山のようにいるなかで、たとえばリスキリングのような『それはいま必要ですか』というものにも多額の予算をつけています。
ドイツやイギリスなど諸外国は、国民生活が厳しい状況なので、生活に困っている方の負担感が大きい消費税、付加価値税の税率を下げています。
しかし、なぜか日本ではもっと上げようという意見すら出ています。日本は個人の税金と社会保険料の負担率を合計すると、平均で47.5%もあり、収入の半分近くが税金として徴収されています。税収を上手に使えば、こうした負担率を下げられるはずです」
政治部記者は5兆円にもなる「予備費」を問題視する。
「予備費は本来、自然災害など不測の事態に備えるもので、年間の計上額は5000億円ほどでした。ところが、2020年、当時の安倍政権が新型コロナ対策として10兆円の予備費を計上して以降、巨額の予備費を計上することが常態化しています。
予備費は国会審議を経ず、閣議のみで使途を決められるため、監視の目が届きにくく、政府にとって使い勝手がいいのです。結果として、巨額の支出が常態化しています。
積み上がった5兆円のうち、およそ5000億円は低所得世帯への支援に使いますが、1兆2000億円を、自治体が裁量で使い道を決められる地方創生臨時交付金とすることが決まりました。このほか、病院や農業分野などへも支援されますが、庶民生活への直接の支援はきわめて手薄です」(政治担当記者)
さらに今後は増税が待っている。
「主なものは防衛費に関する増税です。2023年度から5年間の防衛費を総額で約43兆円程度とし、2027年度にGDPの2%とする方針です。その後も防衛力を維持するため、毎年度約4兆円の追加財源が必要です。その財源として、法人税、所得税、たばこ税を増税する『税制改正大綱』が決定済みです」(同)
SNSでは、
《収入が増えていないのに税金と社会保障費でかなり取られてたら、そりゃ国民総貧困化するよ》
《政府は輸出企業や大企業しか目に入らず、増税に次ぐ増税で国民は貧困化してるの、知らないのかな》
《今や大半が貧民化した国民から強制的に消費税でカネを巻き上げる自民こそが貧困ビジネスだろw》
と「国民貧困化」を嘆く声が多い。政府がやるべきことはもっとあるはずだ。
( SmartFLASH )