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医療機関「マイナ保険証」システム導入義務化で現場医師たちの悲鳴「ついて行けない医師は引退しろというのか」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.04.03 19:50 最終更新日:2023.04.03 19:50

医療機関「マイナ保険証」システム導入義務化で現場医師たちの悲鳴「ついて行けない医師は引退しろというのか」

大病院にはシステムを導入する余裕があるが…(写真・共同通信)

 

 この4月から、マイナンバーカード健康保険証を一体にした「マイナ保険証」を使うオンライン資格確認システムの導入が、医療機関で義務化された。マイナンバーカードをカードリーダーに置き、「顔認証」か「暗証番号」で、本人確認と保険資格の確認が一度にできるシステムだ。

 

 しかし、まだ利用できない医療機関も多く、システムをすでに運転開始しているのは、医療施設全体のうちの60%。「病院」は69.6%、「薬局」は81.7%と導入が進んでいるものの、規模が小さい「医科診療所」は49.6%、「歯科診療所」は53.2%にとどまっているのが現状だ(厚生労働省資料より。2023年3月26日時点)。

 

 

 オンライン資格確認の導入に伴い、政府では、補助金を出し、やむを得ない事情により導入が遅れている医療機関に対し、猶予期間を設けている。

 

 マイナ保険証は、ほかの医療機関とのデータが連携されるなど、メリットは多い。しかし、医療の現場からは多くの不満の声が上がっているという。

 

 約11万の開業医などが加盟する「全国保険医団体連合会(保団連)」の本並省吾事務局次長は、こう語る。

 

「政府は、マイナ保険証利用のメリットを強調し、2024年秋に健康保険証を廃止する法案を提出していますが、医療現場や患者・国民の混乱と不安は増すばかりです。健康保険証の廃止で、マイナカードを所持したくない人、管理できない人に、カード取得を事実上、強制することになります。

 

 オンライン資格確認の義務化も、医療現場には大きな負担となっています。費用負担やセキュリティ対策の対応が困難で、義務化によって閉院した医療機関、閉院せざるをえない医療機関は少なくありません。患者側にとっても不幸なことだと思います」

 

 保団連が2022年10月に実施した調査では、医療現場の65%が保険証廃止に「反対」の意見だった。おもな反対理由は「マイナカード利用に不慣れな患者への窓口対応の増加」「マイナカードの携帯・持参が困難な患者(単身高齢者など)への対応」「システム不具合時に診療継続が困難となる」などがあった。

 

 この調査では、現場の医師からこのような声が。

 

「高齢であり、絶対にできません。どうしてもやれというなら廃院します」(茨城県・医科診療所・70代以上)

 

「(患者に)80代の高齢者が多い。説明に手間取りそうです。医療のデジタル化についていけない医師は引退しろということかと感じます」(新潟県・医科診療所・60代)

 

「開業以来ずっと、手書き請求、保険証確認も何の不都合も問題もなくやってきました。誰も困っていません。何が問題なのでしょうか? マイナンバーカード普及のために保険証を人質にされているようです。このままでは2年後に閉院確実です。それとも、デジタル化に対応できない医療機関を淘汰するのが目的なのでしょうか」(東京都・歯科診療所・60代)

 

 SNSにも

 

《高齢なことと、今後マイナンバーカードと保険証、デジタル化の波に押されて、そのシステム導入に資金が結構かかって、税理士さんにここらで引き際と言われたらしく、3月で閉院になっちゃうらしい。なんか、全国で頑張ってる高齢の町医者(地域密着)がデジタル化で不本意ながら引退に追い込まれるの気の毒》

 

《長年やってきた個人病院さんが今年一杯で閉院するそうだ。主な理由は、マイナンバーカードに保険証がくっつくようになり、それをやり取りするシステムやら機材を導入すると1000万以上かかるから。また病院が無くなる。これが青森の短命県である理由なんだよ。濃い味どうこうじゃない》

 

などの声が。

 

「健康保険証で、なんら問題なく保険診療を続けてきた医師・歯科医師に、新しいシステムに対応できないなら引退すればいい、という声もあります。しかし、医師本人の問題にとどまらず、当該地域の医療提供そのものが断たれ、患者・国民の不利益につながります。医師の高齢化が進み、医師が不足している地方では、影響は深刻です」(前出・本並氏)

 

 これでは「弱者切り捨て」と批判の声があがるのも当然。メリットがあるのもわかるが、あまりに拙速に過ぎるのではないか。

( SmartFLASH )

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