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CoCo壱創業者が語る「スッカラカン売却」の裏事情社会・政治 2015.11.14

 

8CoCo壱番屋-L

 朝6時。名古屋市・栄の広小路通を掃除して歩く男性の姿があった。大きな用具を抱え、ジャージ姿に古びたキャップ。清掃スタッフと見まがうが、じつはこの男性、世界最大のカレーチェーン「CoCo壱番屋」を運営する「壱番屋」の創業者・宗次徳二氏(67)その人なのだ。

 

「掃除を始めて8年間、出張の日以外は雪や嵐の日でも毎日、100%やっていますよ」(宗次氏)

 

 そう話しながらも手は止めず、今度は花壇のハイビスカスに水をやりはじめた。この通りに咲く2300株もの花も、宗次氏が植えたものだという。

 

 54歳で経営の一線から退いていたものの、宗次家は壱番屋の株を約23%保有する筆頭株主だ。しかし今月2日、同社はハウス食品の傘下に入ることを発表。宗次家も保有する約390万株すべての売却に踏み切った。手にする金額は、およそ220億円にのぼる。

 

「こんな大変な商売、息子に継がせようなんて思ったことがない。息子(弘章氏)はプロゴルファーになりましたが、私はゴルフは下手でやめました。飲み屋さんにも行ったことがありません」

 

 今回の売却によって、完全に社から離れ、きれいさっぱり「スッカラカン」となる宗次氏。掃除用具が満載のカートを押す宗次氏のあとを追いながら、決断に至った経緯を聞いた。

 

「売却について逡巡はなかったです。将来のことを考えるとハウスさんがやるのがいいのかな、と社長のころから思っていた。『バッカス』という喫茶店をやっていた40年前から、ハウスさんのスパイスを使っているんで、信頼がめちゃくちゃ厚いんですよ」

 

 今回の売却で得た資金は「社会貢献に使っていくつもり」と宗次氏。その背景を、宗次氏を取材した経済ジャーナリスト、松崎隆司氏はこう語る。

 

「宗次さんは児童養護施設で育ち、養子に入った家庭でも競輪に依存した義父のもと、電気もないような生活をしてきました。この経験があってか、従業員を家族のように大事にする考えが根底にあるんです」

 

 宗次氏も「不遇時代の経験と今やっている活動は、やはり関連していると思う」と語る。

 

「いまでも、たまにスタッフのまかないカレーを作るんですよ。食品スーパーで具材から選んでね。ホームセンターに土を買いに行ったり、そういうことが楽しいんですよ(笑)。ハウスさん傘下になっても社風は変わりません。私も変わらずお掃除を続けますよ」

 

 清掃活動はたっぷり90分。通りには“CoCo壱カラー”の黄色い花が満開だった。

 

(週刊FLASH 2015年11月24日号)

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