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「少子化対策なら消費税上げよう」経団連・経済同友会の主張にSNS憤激「法人税上げろ」「弱者いじめ」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.04.25 15:25 最終更新日:2023.04.25 15:27
4月23日、衆参5補選が投開票され、自民党は4勝1敗で補選前から議席を1増とした。5月の主要7カ国首脳会議(G7)後の衆院解散もささやかれるなか、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」の裏づけとなる財源議論に注目が集まっている。
政府は、「こども未来戦略会議」(議長・岸田首相)で、子育てなどに関する政策やその財源について議論しており、6月末までに結論をまとめる予定だ。
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4月24日には、経団連の十倉雅和会長のインタビューを日本経済新聞が報じた。十倉氏は「消費税も当然議論の対象になってくる」と述べ、社会保険料の引き上げ案に対して「賃上げ分をすべて社会保障に回されると賃上げの実感を得られない」と、幅広い層に負担を求めるのが望ましいとの見解を示した。
十倉氏は、こども未来戦略会議の委員でもある。4月7日の初会合では、こう述べていた。
「いまここで財源として社会保険料の負担を増やすことは、現役世代の可処分所得の減少に直結し、せっかくの賃金引き上げの効果に水を差し、好循環の実現に待ったをかけるもので、賛成できません。
むしろ、全世代が応能負担で支えるという観点も含め、中長期の視点からさまざまな税財源を組み合わせることが望ましい」
4月14日、「財政制度等審議会」(財務相の諮問機関)で新会長に選出された十倉氏は、ここでも「社会保険に限るのではなく、税を含めた広い安定財源確保の議論が必要だ」と発言している。
政府が3月末の「たたき台」に盛り込んだ児童手当の拡充などを実現するには数兆円、さらにすべての施策を実現するには最大で年8兆円が必要とも指摘されている。
政府・与党内では、少子化対策の財源として医療や年金、介護などの社会保険料を1兆円程度引き上げる案が軸となっている。だが、労使折半となる社会保険料の引き上げには経済界からの反発が強い。
経団連だけでなく、経済同友会の桜田謙悟代表幹事も、4月4日、「どうして消費税の話が出てこないのか。税という形で持続可能性を求めていくべきだ」と指摘。
4月18日には、「国民に消費税を上げない理由を説明しないまま、(社会)保険料の値上げで財源を作ろうとしているのであれば、将来に対して責任を持った政治的判断とは言えない」と述べ、消費税を上げる議論を始めるべきと主張した。
経済界から相次ぐ「消費税増税」案に、反発の声は大きい。十倉会長のインタビューが報じられると、SNSではこんな怒りの声があがった。
《ほらきた。社会保険料の代わりに差し出す気だ》
《法人税増税でいいですよね? あなた達円安と便乗値上げで過去最高益出しまくってるんですからちょっとは還元しましょうよwww》
《低所得者に負担が重くのしかかる消費税増税で少子化対策なんて、逆立ちもいいところです》
《社会保険料、消費税を上げることは消費を抑えることになる。可処分所得が減るんだからあたりまえ。消費税なんて弱者いじめでもある。経済界がこの認識ではまずい》
毎日新聞が4月15・16両日に実施した世論調査では、少子化対策の財源として、社会保険料を引き上げることについて、「反対」72%「賛成」18%。財源確保のため増税することについては、「反対」67%「賛成」24%だった。
4月20日、ロイターなど外国メディアの取材に応じた岸田首相は、少子化対策の財源について、「当面消費税にさわることは考えていない」と述べた。残された時間も限られる。数兆円とされる財源の議論はどう決着するのだろうか。
( SmartFLASH )