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次世代半導体の国産化を目指す「ラピダス」設立9カ月で2兆円支援要請…SNSでは「将来のため必要」「バカにしてる?」と賛否

社会・政治 投稿日:2023.05.04 18:16FLASH編集部

次世代半導体の国産化を目指す「ラピダス」設立9カ月で2兆円支援要請…SNSでは「将来のため必要」「バカにしてる?」と賛否

ラピダスの東哲郎会長(写真:ロイター/アフロ)

 

 5月3日、共同通信が、次世代半導体の国産化を目指す新会社「ラピダス」の東哲郎会長のインタビューを報じた。

 

 ラピダスは2022年8月、トヨタ自動車やNTTなど国内大手の出資を受けて設立された。ラピダスが国産化を目指すのは、人工知能(AI)や自動運転といった分野で需要を見込む2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの線幅の次世代半導体だ。2025年に北海道千歳市で試作ラインを稼働させ、2027年の量産開始を目標としている。

 

 

 日本の技術は40ナノ製品にとどまっており、米IBMやベルギーの研究機関の協力を得て巻き返しを急いでいる。

 

 日本の主要企業からの出資額は73億円にとどまるが、東会長は技術開発に2兆円規模の資金が必要との試算を示したうえで、民間からの追加調達は容易でなく、「国の支援を中心に考えないといけない」と語った。具体的には、毎年度3000億円規模の国費支援に期待を示す。

 

 量産化に向け、工場建設などに別途3兆円ほどかかるとし、株式上場による資金調達も検討。将来は技術者を中心に1000人程度を採用する計画という。

 

 4月25日には、西村康稔経済産業相が、2600億円の追加支援を発表。すでに決めた補助額700億円と合わせ、国費投入は計3300億円となる。

 

 西村大臣は、「最先端の半導体は戦略的に不可欠な技術だ。今後も必要な支援をしっかりとおこなっていきたい」と述べた。経産省は国内で生産する半導体関連産業の売上高を、2030年に2020年比で約3倍となる15兆円に引き上げる目標を掲げている。

 

「1980年代、世界の半導体シェアの過半を占めていた日本の半導体産業は、1990年代以降、急速に競争力を失い、後発の韓国勢や台湾勢に完敗。現在、シェアは6%にまで下がっています。

 

 経産省は『日の丸半導体復活』という目標を掲げ、日立製作所、NEC、三菱電機の半導体事業を統合した『エルピーダメモリ』に300億円の公的資金を投じましたが、経営破綻。

 

 車載半導体のルネサスエレクトロニクスも一時、経営危機に直面し、ジャパンディスプレイは巨額赤字を垂れ流しています。業界再編のために官主導で設立された会社は失敗続きです」(経済担当記者)

 

 ラピダスが、創業からわずか9カ月で2兆円の支援を要請することに、SNSでは賛否が渦巻いている。《ぜひ 成功して頂きたい》《将来のためには、必要》と賛同する声もあるが、多くは批判的だ。

 

 立憲民主党米山隆一衆院議員は、5月3日、自身のTwitterにこう書きこんだ。

 

《2兆円もの巨額資金は株式市場を通してリスク・マネーを調達するのが筋ですが日本では国が国債で調達して(恐らく)ノーリスクで渡すスキームになるのでしょう。それはもう「新しい資本主義」でも何でもない、「新しい共産主義」で、日本は没落への道を歩んでいる様に見えます》

 

 このほか、国費投入に批判的な声には以下のようなものがある。

 

《なんだこれ? ルネサス1500億円支援されたんですけど、結局すべてリストラで支援の1500憶は見せ金としてしか使われませんでした。2兆バカにしている?》

 

《出資元の企業が合計2兆円を出せよ。公的資金が注入されても破綻した、エルピーダメモリの教訓は無学なのか?官製主導はろくなことがない》

 

《いくら高尚な目標を掲げてもはなから資金面で国に依存するようでは成功は心許ないと感じる 資企業の本気度がないならそんな新会社は止めてしまえ》

 

 経産省は、台湾TSMCが熊本県に建設する新工場の整備費用に最大4760億円を補助することも決めている。2024年12月までに操業を開始する予定だ。

 

 経済安全保障上、半導体の重要性は増しているが、「日の丸半導体復活」の夢にしがみつき、再び失敗するようなことは避けてほしいものだ。

( SmartFLASH )

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