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訪韓目前の岸田首相を待ち構える尹錫悦大統領が「反省と謝罪」をどうしても引き出したい“事情”
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.05.06 17:30 最終更新日:2023.05.06 17:39
アフリカ諸国歴訪を終えたばかりの岸田文雄首相が、5月7日から2日間の日程で韓国を訪問し、尹錫悦(ユン・ソンニュル)大統領と会談する。
訪問先のガーナで「サミット前に早期訪韓が実現するなら『シャトル外交』にはずみをつけ、首脳間の深い信頼関係を背景に、今後の日韓関係の加速や、激変する国際情勢について、腹を割った意見交換をおこなう、よい機会になると期待している」と述べた岸田首相。
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日本の首相としては、2018年の安倍晋三首相以来、5年ぶりの訪韓となるが、『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は「1998年に発表された『日韓共同宣言』にあった、植民地支配に対する日本の反省と謝罪について言及するかどうか、その一点に注目しています」と語る。
「3月に尹大統領が訪日した際、岸田首相は日韓共同宣言を継承する意向こそ示しましたが、『我が国が過去の一時期、韓国国民に対して植民地支配により、多大な損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対して、痛切な反省と心からのお詫びを申し上げた』という記述にはふれませんでした。今回、韓国内の新聞は一斉に「痛切な謝罪と心からのお詫びを述べることを期待する」との社説を掲載しています」
岸田首相はどうするのか。政治担当記者は「元徴用工問題で、韓国は『支援財団』を設立して、韓国の民間から自発的に寄付された財源で、賠償金などを支給し、裁判で被告となった日本企業には請求しないことを表明しています。そのため、韓国内では『次は日本が譲歩する番だ』という意見が多いので、岸田首相は謝罪と反省を述べると思います。G7広島サミットに韓国を招待することも表明していますから」と語る。
尹大統領にとっても、謝罪と反省を是が非でもほしい事情がある。
「2024年の4月、韓国は総選挙があります。現在、尹大統領を擁する『国民の力』は過半数割れしているので、重要法案が国会を通らない事態が続いています。国民世論を味方につけて過半数を取らないと、残り4年間に思い切った政策が取れません。そのあたりは岸田首相もよくわかっていると思います。
さらに思い出されるのは、2011年12月に京都でおこなわれた、野田佳彦首相(当時)と李明博(イ・ミョンバク)大統領(同)との会談です。李大統領は、元日本軍従軍慰安婦問題について『両国の障害になっている』と問題解決を強く求めました。しかし野田首相は『法的に決着済み』と、日本政府の立場を伝えて決裂。両国関係はおかしくなり、翌年に李大統領は竹島に上陸しました。4月の総選挙に負けてしまうと、尹大統領が日本に対し、てのひらを返す恐れもあります。韓国の悪習ですが、可能性はあります」(辺氏)
かつてないほど、日韓関係は良好だといわれている。歴史は繰り返してほしくないものだが……。
( SmartFLASH )