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LGBT法案、サミット前に国会提出も成立困難の見通し 保守派からの修整でゆがめられる内容に事務局が抱く危惧

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.05.10 15:50 最終更新日:2023.05.10 15:50

LGBT法案、サミット前に国会提出も成立困難の見通し 保守派からの修整でゆがめられる内容に事務局が抱く危惧

5月9日、LGBT法案について閣議に臨む岸田文雄首相(写真・時事通信)

 

 自民党は、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案の修正案について、5月19~21日に広島で開催されるG7サミット前に、国会に提出する方向で調整に入った。しかしながら、法案成立は困難の情勢となっている。

 

「超党派議連は2021年に法案をまとめましたが、自民党保守派が『性自認』『差別は許されない』という文言に反発、国会提出には至っていませんでした」(政治担当記者)

 

 

 自民党内には「『性自認』を理由にトイレや更衣室を選ぶ権利を認めれば、性犯罪などに悪用される恐れがある」「『差別は許されない』となれば、訴訟の乱発を招きかねない」という声があるという。そのため、自民党執行部は8日の党会合で、「性自認」を「性同一性」に、「差別は許されない」を「不当な差別はあってはならない」と修整したが、今度は立憲民主党が反発した。

 

 同党の泉健太郎代表は。9日の党会合で「自民党がぐずぐず言っている。各党でまとめたもの(超党派法案)をちゃんと通すよう主張したい」と発言、自民党の法案修正を批判した。自民党からも、法案推進派で超党派議連の岩屋毅会長が「できるだけ(超党派法案に)忠実な案が望ましい」と、最小限の修正にとどめるべきだとしたが、保守派はさらなる修正を求めているという。

 

 この一連のゴタゴタに、LGBT法連合会事務局は「岸田首相のリーダーシップが見えない」と主張する。

 

「G7サミット参加各国からも法案成立を求められているのに、強く議論を進める姿勢が感じられません。自民党の一部が指摘している『性自認』を『性同一性』に修整する理由も、学術的、議論経過的に摩訶不思議で、定義をゆがめています。『なりすまし』を議論する時点で、法案に書いていない感情の議論になっていると思いますし、国民のみなさんに誤ったメッセージを送ることになってしまう、と危惧しています」

 

 自民党は、10日にもあらためて議論するが、先行きはどのような見通しなのだろうか。

 

「かりに自民党がまとまったとしても、与野党間の調整は難題です。国民民主党は一定の理解を示していますが、立憲からは『こんな後退した案は通せない』という声が上がっています」(前出・政治担当記者)

 

 サミット前の法案成立はほぼ不可能と見る向きが多いが、LGBT法連合会事務局は「難癖で議論がゆがみ、そこで法案ができたとしても、施行されてからの差別などがもっとひどい状況になることを心配しています」と懸念する。

 

 ゆがめられた形の法案では、社会的課題の解決には近づかないのではなかろうか。

( SmartFLASH )

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