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「岸田に “直轄地” は渡さない!」菅前首相が6月「総務次官」人事に “忠臣” ゴリ押し中
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.05.11 11:00 最終更新日:2023.05.11 11:00
5月7、8日の訪韓を無事に終え、非常に手応えを感じているという岸田文雄首相。このところ強い安定感を示す首相を、複雑な思いで見ているのが、菅義偉前首相だ。
「そもそも今回の岸田総理の訪韓は、3月に菅前総理が日韓議員連盟の会長になり、仕込んだ話なのです。いわば岸田総理に恩を売ったかたちですが、自身の影響力の拡大にも余念がありません」(官邸関係者)
自民党総裁選を控えた2021年当時、再選を目指していた菅首相は、岸田前政調会長の立候補表明によって無投票再選の道を絶たれ、立候補を断念。退陣した経緯がある。
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その後の菅前首相は “反岸田” の旗幟を鮮明にし、2023年1月には、月刊誌のインタビューや訪問先のベトナムでの取材で、首相を公然と批判してきた。
「しかし、直近の菅前総理は、統一選の応援演説で、岸田総理が『異次元の少子化対策』のたたき台で盛り込んだ『出産費用の保険適用』を自身の実績として言及したくらいで、目立った動きは取っていませんでした」(同)
だが、ここにきて水面下で動き出したという。6月におこなわれる総務省の事務次官人事で、岸田首相に圧力をかけているのだ。
「第1次安倍内閣で総務大臣を務めた菅前総理は、総務省に大きな影響力をもっており、いわば同省は “直轄地” です。そのため、岸田総理も総務省案件には安易に立ち入らないよう気を使っています」(同)
現在の総務次官は、2022年に就任した山下哲夫氏(1985年、旧総理府入府)だが、就任の際にひと悶着あったという。
「本来、このとき次官になる予定だったのは、現在、ナンバー2の総務審議官・内藤尚志氏(1984年、旧自治省入省)でした。しかし、官僚の人事権を握る栗生俊一官房副長官(1981年、警察庁入庁)が、それを頑なに拒否したといわれています。旧自治省の次官が続くことを避けるためだとされますが、不可解な人事でした」(総務省関係者)
内藤審議官は、菅前首相に非常にかわいがられているという。地方の税財政制度に精通しており、菅前首相が名をあげた「ふるさと納税」の制度設計などの実務面を支えた。ふるさと納税を所管している自治税務局長のポストも務め、“菅案件” といわれた新国立競技場の建設にも関わった。
「内藤審議官は “菅派官僚” の筆頭格として多くの仕事をこなしており、菅前総理としてはなんとか次官に押し上げたいと考えています。そして6月人事に、“内藤でいいだろ” と圧力をかけているのです」(前出・官邸関係者)
内藤審議官自身も、次官ポストへの執着を隠そうとしていないという。
「次官になりたい人なので当たり前ですが(笑)、出世欲が強く、そのため省内の評判はよくありません。
自分を引き立ててくれる政治家には忠誠を尽くすタイプで、『菅前総理は話をよく聞いてくれたが、岸田総理のどこに “聞く力” があるのかわからない』『岸田ノート? 岸田ノーだろ』『始球式と同じで、あの人のやることは国民には届かない』と公然と不満を口にしており、周囲からは引かれています」(前出・総務省関係者)
次官就任を山下氏に先を越されたことで不満を口にしているが、省内では「さすがに露骨すぎる」と受け止められているという。
「たしかに今回の人事では目玉となる次官候補がおらず、内藤審議官になる可能性はあります。断われば菅前総理を怒らせる可能性がありますし、受ければ菅前総理の力を増長させてしまうという状況です。
悩ましいのは、山下次官の方が内藤審議官より年次が下ということ。ここで内藤審議官を押し込むと、岸田総理が菅前総理からの圧力に屈したかたちに映るのです」(前出・官邸関係者)
順風満帆に見える政権のなかで、岸田vs.菅の主導権争いが水面下で激化しているのだ。
( SmartFLASH )