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教員残業代「4%→10%」自民党の改善案に批判殺到「現場を知らなさすぎ」「過重労働を正当化される」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.05.11 16:00 最終更新日:2023.05.11 16:00

教員残業代「4%→10%」自民党の改善案に批判殺到「現場を知らなさすぎ」「過重労働を正当化される」

特命委員会の委員長を務める自民党の萩生田光一政調会長

 

 5月10日、教員の人材確保に向けて、処遇改善策を議論する自民党の特命委員会(委員長・萩生田光一政調会長)は、公立学校の教員の給与に、残業代の代わりに上乗せする「教職調整額」を、現行の給与月額の4%から10%以上に増額することを柱とした提言をまとめた。6月に政府がとりまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」へ反映させ、2024年度中の法改正を目指す。

 

 

 教員の残業時間を、上限の半分以下となる月20時間程度にすべきだとした。学級担任手当の創設、教務主任や学年主任の手当の倍増などをあげた。また、2026年度から、中学校で35人学級を段階的に導入することなどを提示した。処遇を改善し、教員志望者を増やす狙いがある。2024年度から3年間を、関連する予算拡充などの集中期間に設定することも求めた。改革全体では、国費ベースで毎年5000億円規模の予算増を想定している。

 

 教員給与特別措置法(給特法・1971年制定)は、残業代の代わりに月給の4%を教職調整額として支給すると定めている。月8時間分の残業時間をもとに定められたものだが、実際の教員の労働時間とは、乖離している現実がある。

 

 まだまだ問題はある。2021年度、文部科学省がおこなった調査では、年度当初の教員不足が公立小中高と特別支援学校で2558人。教員が産休や育休、病休などで学校を離れても、その穴を埋める代理の教員が確保できない「教員不足」が問題となっている。

 

 萩生田光一政調会長は特命委で「世界に冠たる、質の高い公教育を作っていくことが、最大の少子化対策でもあります」と述べたが、この自民党の提言には、批判の声が殺到した。

 

 作家でタレントの乙武洋匡(ひろただ)氏は5月10日、自身のTwitterにこう書きこんだ。

 

《「2.5倍」という数字のインパクトに騙されがちですが、月給30万円の教師なら「1.2万円→ 3万円」になるだけです。みなさんは、3万円の報酬で月80時間以上の残業を請け負いますか?》

 

 SNSでは、ほかにも自民党の提言を批判する声が多くあがった。

 

《「お金」の話をしている限りは、教師の働き方改革なんて一切進んでいないってことだからね 一万円多く握らされたからって、過労死ライン超えた働き方なんてしたい? 家族や恋人や趣味を犠牲にする?若い人たちはこんな自民党の浅知恵に騙されんなよ》

 

《これで教員志望者が増えるとでも思ってんのやろか?現場を知らなさすぎやで。ましてや少子化解消なんて夢のまた夢》

 

《相変わらずズレた政策》

 

《現役教員視点で見てこの施策が「教員不足解消に寄与する」と感じた人は少ないと思う。むしろこのことを盾にして余計に過重労働を正当化されるんじゃないかと危惧する》

 

 文科省でも、給特法改正を含め、中央教育審議会(文科相の諮問機関)で検討する方針だ。教員不足解消につなげることができるだろうか。

( SmartFLASH )

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