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NTT「株式25分割」で1万円台から投資可能に…「優待維持」で買いどきはいつ?
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.05.15 18:00 最終更新日:2023.05.15 18:00
5月12日、NTTは1株を25株にする株式分割を発表した。分割は7月1日からで、最低投資額は現在の約40万円から約1万6000円程度になる。島田明社長は決算説明会で、投資単位の引き下げで、投資家層を幅広い世代に拡大したいと述べた。
同日に発表された連結決算(2023年3月期)では、当期利益が前期比2.7%増の1兆2131億円と過去最高益を更新している。
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同時に、2027年度までの新中期経営戦略も発表。具体的な取り組みとして、次世代ネットワーク構想「IOWN(アイオン)」を支える光電融合デバイスの製造会社の設立、2027年度までの5年間で成長分野に対して約8兆円を投資することなどをあげた。
日本では、ファーストリテイリングが3分割、オリエンタルランドが5分割など、株式分割が相次いでいるが、25分割は異例。さらに、100株以上の長期保有でdポイントがもらえる(2年以上3年未満で1500ポイント、5年以上6年未満で3000ポイント)株主優待も維持される。
25分割されるNTT株は「買い」なのか? 経済評論家の杉村富生氏に話を聞いた。
「正直、買いですよ。4000円くらいの株が160円くらいになる。160円になったら、天下のNTTが150〜160円というわけにはいかないでしょう。200〜250円にはなりますよ。株価の水準というものが上方修正されるようになります。
島田社長の英断といっていい。25分割なんてする必要はないんです。面倒くさいんですよ。小さな株主がいっぱいできるんだから。それを思い切ってやる。100株1万6000円くらいで買えるようになる。株主優待も維持されるわけですから。
しかも、これから8兆円を光通信の最先端分野に投資することも発表しています。日本の通信インフラのリーダーですよ。資金調達も必要になってくる。そういうことも考えていると思います。
40万円あるならいまから買っておいたほうがいい。40万円がない人は7月1日以降に買えばいいし、下がったらまた買えばいいと思います。
ただ、プレミアムがついて、7月1日以降は1〜2割高く買うことになると思います。NTTはいまでも100株40万円で買えるんですが、ちょっと買いづらい。それを考えると、評価されるべき分割だと思います」
4月26日、東京ガスが5300万株を上限とする自社株買いを発表。トヨタも5月10日、1億2000万株を上限とする自社株買いを発表した。市場に出回る株が減れば、株価は上がりやすくなる。これも株主への利益還元策のひとつだ。
「いままでの日本ではなかった動きです。経営者の動きがドラスティックに変わってきました。2013年にスタートした『日本再興戦略』の柱が企業統治改革で、それが結実のときを迎えているのです。
日本は『失われた30年』で、国の政策も悪かった。日銀もミスを繰り返した。しかし、企業もなにもしないでお金を貯めこんできた。上場企業で500兆円、プライム市場だけでも300兆円の現金預金があります。
お金を貯めこむだけで使わないからお金がまわらない。それを何とかしろ、ということで、経済産業省がPBR(1株あたり純資産の何倍か)で1倍以上を主張してきました。
PBR1倍割れとは資本を十分に使っていないということです。実は、日本はプライム市場に上場している会社の54%が1倍割れです。アメリカはPBR4倍を超えていますから、日本はきわめて資本効率が悪いことになる」(杉村氏)
株式を分割して、多くの人が買えるようにすれば、PBRは上がりやすい。それはもちろん時価総額の増大につながる。NTTの株式25分割にも、そういう意図がある。
「いま、日本市場では3805社上場していて、時価総額が780兆円ぐらい。アメリカは、GAFAM(Google、Apple、Facebook=Meta、Amazon、Microsoft)の5社で1000兆円超えています。ニューヨーク市場の時価総額は日本円で5780兆円ですから、日本の8倍です。
しかし、今後、日本市場の逆襲が始まりますよ。日本市場は抜群に強くなっていますから」(杉村氏)
米アップルは、2020年8月、株を4分割したところ、翌日に一時、基準値の4.1%高をつけた。NTT株でも同じことが起きるだろうか――。
※本記事は投資を推奨するものではありません。購入は自己責任でお願いします
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