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同期・橋下徹くんと意気投合「日本に大統領制を!」「関西共和国で独立を!」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第2回】

社会・政治 投稿日:2023.05.19 06:00FLASH編集部

同期・橋下徹くんと意気投合「日本に大統領制を!」「関西共和国で独立を!」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第2回】

 

 5月13日の土曜日、「ABEMA」で配信されている『NewsBAR橋下』に出演させてもらいました。元大阪府知事の橋下徹くんが司会を務める対談番組。さすがにケンカとまではいきませんでしたが、お酒を酌み交わしながら、お互い本音でボンボン意見をぶつけました。「世の中がひっくり返るやろな」と思うような刺激的な話も出ましたよ。

 

 じつは、橋下くんとは旧知の仲。司法修習生の同期として2年間、同じ釜の飯を食いました。修習生で作ったラグビーサークルでも一緒に汗を流し、毎晩のように酒を飲んで語り合いましたね。年長の私はリーダー格で、何かと目立っていたと思いますが、彼も当時からキャラが相当立っていたね。

 

 

 弁護士になってからは、たまに同窓会で飲むくらいで、その後はずいぶんご無沙汰していましたが、最近、また連絡を取り合うようになった。

 

 4年前の2019年、私が例の暴言で市長を辞任することになったとき、橋下くんがツイッターに、「泉さん、ここは辞めるべきだ。辞めればまた未来がある」と書いてくれたことも、よく覚えています。

 

 私は以前から、彼の政治的感覚はすごいなと思っていて、「辞めるべき」という彼の意見は大変参考になりました。

 

 そして、去年の10月12日に、私がまた暴言騒動を起こして「次の市長選は出ません」と言うたとき、直後に橋下くんから電話をもらったんです。「前回はアウトだけど、今回は議会に対する暴言だから辞める必要はない」と言ってくれて。私は「こうなった以上は辞めるんや」と答えましたが、2回の市長辞任に橋下くんが関わっていたわけです。

 

 橋下くんと私は、今の政治をなんとかせんとあかんという思いは共通していると思います。そのためには、トップダウンで断行するしかないという思いも同じ。実際、私も「政治は結果だ」という姿勢でやってきて、明石市長としての12年間で一定程度、目標を達成できたと自負しています。

 

 橋下くんも毀誉褒貶はあるけど、府知事、市長を通して8年弱の間に大阪を大きく変えたのは間違いない。古い政治を一掃した点は、すごいと評価しています。

 

 ただし、政治的なスタンスは違います。私はどちらかといえばセーフティネット派。「誰一人取り残さない」政治を目指してきましたが、橋下くんは自己責任や自助努力など、ある意味、競争を優先するタイプですから。でも、今の社会を変えなあかんとか、子供や教育に投資が必要といった思いは一緒だと思います。

 

 もうひとつ、我々に共通しているのは、あえて「嫌われる」ことをやった点。私も橋下くんも、多くの敵に囲まれ、嫌われてきましたが、全員に好かれようとするのは政治家じゃない。それは仕事をしていない証拠です。政治家が決断して改革を実行すれば、必ず既得権益にすがる層からは嫌われる。嫌われる覚悟で断行し、結果が出なかったら潔く辞める。それが政治家です。

 

 今回、番組では「自由に法律を作れるとしたら?」という質問がありましたが、私は2つ提案しました。「大統領制の導入」と「関西共和国の独立」です。これには、橋下くんも「賛成!」とおおいに共感してくれました。

 

 なぜ、大統領制が必要か。ポイントは、政治家がどっちを向いて仕事をするかということです。市長や知事は、直接選挙で選ばれるという意味で大統領制と同じ。当然、有権者のほうを見て仕事をする。

 

 でも、今の日本は議院内閣制で、総理大臣が国民から選ばれない。だから総理は国民を見ず、与党の有力者の顔色ばかりを窺っている。総理が直接選挙で選ばれるようになれば、日本の政治は大きく変わるはずです。

 

 次に、「関西共和国の独立」。橋下くんはかつて「大阪都構想」をブチ上げましたが、「関西共和国」は、都構想に通じるものです。

 

 要は、東京の中央政府から独立して、関西独自で政策決定できるようにしようというものです。いわば、アメリカ合衆国のイメージ。アメリカでは、州ごとに憲法があって州が独立している。それを参考にして、日本でも「関西共和国」という “独立国” を作ったらええんちゃうか。それで意気投合しました。

 

 番組で、私は彼をけしかけたんですよ。「いつまで評論家やっとんねん。そろそろ自分で政治をやらんかい」と。橋下くんは、2015年に政治の世界を離れてから8年も経ちます。しかし、彼はまだ世の中を変える力を持っていると、私は思う。

 

 日本の国会議員はリーダーシップがない連中ばかりですが、今のように変革が求められる時代には、やっぱり橋下くんのようなキャラクターは必要です。

 

 なのに、彼は「まだ子供の教育費がかかるから」などと言って逃げます。それでも、政治への情熱を失っていないのはよくわかる。今は時機を見計らっているのでしょう。

 

 橋下くんが国政に打って出る可能性はあると思うし、新党結成などの動きがこれから出てくるかもしれません。彼が国政に参加するとしたら、それは日本維新の会じゃない。今の維新を、彼は評価してないんとちゃうかな。

 

 橋下くんがいた時代と、今の維新は違うと思う。橋下くんがいた当時の維新は勢いがありましたよ。政権を獲るかもしれないと感じさせるだけの期待感があった。先日の統一地方選で、維新は「一人勝ち」といわれているようやけど、残念ながら、所詮、野党第2党ですわ。大阪以外でも議席を増やしましたが、10人通る選挙区だったら、そりゃ一人くらい維新が通るわなという感じ。

 

 つまり、“受け皿” として伸びているに過ぎない。「自民党はダメ、立憲もイマイチ」という、今の政治に飽き足らない人々が、消去法で維新に投票しているだけ。そこそこ伸びても、これから一気に拡大するような雰囲気はない。

 

 その点、橋下くんはいまだに大化けする可能性を秘めている。吉村洋文大阪府知事になくて橋下くんにあるのは、その強烈なキャラクターです。

 

 私自身、市長を辞めても政治と関係を断つつもりはありません。今の日本の政治がいいとは思っていませんから、変えたいという気持ちはある。

 

 最近「泉さん、将来は政治家に復帰せんのか」と聞かれることも多いですが、まだ引退したばかりやから。それでも、大統領制の導入を働きかけ、ちゃんと国民が総理を選べるようにし、その暁には、国民に選んでいただけるような候補を立てたいと思っています。

 

 番組の最後で、「関西共和国の大統領はあんたや」「いやあんたや」と譲り合いになりました。いつか私が担ぐ大統領候補と橋下大統領候補で、堂々とケンカできたら楽しいやろね。その意味で、橋下くんもケンカ相手です。

 

いずみふさほ
1963年、兵庫県明石市生まれ、明石市育ち。東京大学教育学部卒。弁護士。元衆院議員(2003〜2005年)。前明石市長(2011〜2023年)。現在は日本社会を変えるべく活動中

( 週刊FLASH 2023年5月30日号 )

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