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「物価の優等生」ついに転落「エッグショック」で19社から卵メニューが消えた! 外食60社緊急アンケート
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.05.27 06:00 最終更新日:2023.05.27 06:00
エッグショック――2022年からの卵の高騰が、日本を襲っている。
「2022年10月以降の鳥インフルエンザ感染拡大で、卵の供給不足は深刻です。2023年4月の東京では、Mサイズ1kgの平均卸売価格が350円と、前年同月比66%増となり、過去最高を記録しました」(社会部記者)
エッグショックの余波を受けているのは、スーパーで買い物をする主婦層だけではない。その波は、外食チェーンにも押し寄せている。
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本誌は、大手外食チェーン60社に緊急アンケートを実施。エッグショックによる商品の販売休止や、値上げなどの措置を取った品目を尋ね、状況回復の見込みを調査した。
「販売休止した商品がある(あった)」と回答したのは、約3分の1にあたる19社。「値上げや製造方法を変更するなどした」との回答と合わせると、32社にものぼった。この結果を、大手信用調査会社の外食担当者が分析する。
「卵は基礎食材のひとつなので、一見、関係ないように見えるジャンルでも、調味料として使っていることもあります。外食業界の、じつにさまざまな分野に影響を及ぼしています」
一方、14社は「エッグショックの影響はない」との回答。同じ外食業のなかで、影響の大きさにこうも違いが出てくるのは、なぜなのか。
「ひとつは、価格帯の違いでしょう。価格帯が高いブランドは、商品の素材の一部である卵が値上げされても、利幅が大きいぶん、商品の価格自体には反映されにくい。逆に、価格帯が低く薄利多売のブランドは、利幅が小さいため、一部素材の値上げですぐに商品全体の価格が左右されてしまいます。価格帯が高いブランドが軽傷ですんでいるのに対し、低価格ブランドが致命傷を負っている、というケースが散見されます」(同前)
さらに各企業のスタンスも、このエッグショックの被害の大きさに影響しているという。
「在庫を少なくする方針を取っている企業が、とくに苦しんでいる印象を受けます。一方、大量に仕入れて、在庫を抱えることをいとわない方針だと、供給が止まっても在庫で対応ができるため、今回、そこまで苦労はしていません。どちらの方針がよい、というわけではありませんが、このエッグショックで、事業の強み、弱みがもろに出ています」(同前)
エッグショックは、いつまで続くのか……。経済評論家・森永卓郎氏は、こう語る。
「現在、2020年と比べて、1kgあたりの卸価格が170円高くなっています。国内生産量を考えると、この状況が1年続けば、損失は約4400億円になるでしょう。ただ、来月あたりから再出荷できる養鶏場が出てきますから、卵の価格はいまがピークだと私は考えています。とはいえ、元の価格に戻るには、鶏舎の消毒がすんでまた卵を産めるようになる、半年ほどの時間がかかると思います」
「物価の優等生」の再来には、もう少しだけ辛抱が必要そうだ。