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政治は何があっても驚かない。小池都知事と維新が組むこともあるかも【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第4回】

社会・政治 投稿日:2023.06.02 06:00FLASH編集部

政治は何があっても驚かない。小池都知事と維新が組むこともあるかも【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第4回】

 

 G7広島サミットは、ウクライナゼレンスキー大統領が電撃訪問し、一気に盛り上がりました。岸田文雄首相とゼレンスキー大統領が、一緒に献花する姿に感動した人も多いと思います。しかし私は、サミット自体は中身がほとんどなかったと思います。


 
 各国首脳が、みんなで広島平和記念資料館を見学している映像を連日 “御用マスコミ” が報じれば、そら国民も共感しますわ。「平和のために頑張ってるやん」と。
 

 しかし、被爆地の広島で開催したのに、核廃絶に向けて何も前進しなかった。核兵器禁止条約については議論さえされず、むしろ「核抑止力」ばかりが強調され、被爆者の方々を失望させるような内容でした。

 

 

 もっと日本が音頭を取って、核の問題に向き合わなあかんかったのに、「平和は大事」という振りを見せただけ。そのほか、何か議論が深まったり、新しい方針が打ち出されたりしたわけではなかった。だから、中身がほとんどなかったんです。
 

 しかし今回、いちばん評価を上げたのはほかならぬ岸田総理。サミット開催中の世論調査で、岸田政権の支持率は、軒並み10%近くもハネ上がりましたが、まさに「見世物政治」の成果でしょう。マスコミと結託した政治家、官僚のトライアングルによる、ある種の世論誘導がなされたわけです。 

 

 サミットの “成功” によって、解散総選挙の可能性が高まったといわれていますが、私もおおいにあると思います。
 

 じつは最近、複数の政治家から「一緒に新党を作ろう」というオファーが私のところに来ています。今のままでは選挙で勝つのはしんどい政治家が、「溺れる者は藁をも掴む」という感じで私に相談してくる。もちろん、私には新党なんて作る余裕はありませんが、それほど解散総選挙は現実的な問題なんでしょう。
 

 今、解散総選挙となったら、やはり自公が勝つでしょう。その大きな理由は、「ほかよりまし」という消極的な支持です。いつまでも野党がバラバラで、自民党政治への対案さえ出せていない。票が維新と立憲に割れさえすれば、自公がボロ勝ちすると思います。

 

 維新が強いという報道がよくされますが、じつは維新はさほど伸びてません。維新が、別に人気があるわけじゃないんです。今の自公の古い政治が嫌で、やむなく維新に入れているだけ。消去法で残った選択肢に過ぎないので、維新の支持層なんて移ろいやすいもんです。
 

 そういう意味で、有権者の選択肢がない。今の古い政治に代わる、セカンドチョイスがない状況ですから、有権者は一種の “諦め” で現政権を支持している。そこに、サミットという “見世物” があって、国民がある種の興奮状態になっている今なら、やはり自公が勝つ確率は高い。

 

 しかし、有権者がふと我に返ったら、自分たちの生活は苦しいままやと、いずれは気がつくはずです。
 

 与党はサミットの余韻でとりあえず選挙に勝つかもしれませんが、岸田総理の人気は一過性のものやと思います。そこは冷静に見たほうがいい。やはり政治は「一寸先は闇」。小選挙区である以上、現状を選ぶか、違うシナリオを選ぶかの2つの選択肢になれば、状況は一瞬で変わるかもしれません。小池百合子さん(東京都知事)の「希望の党」のブームが好例です。
 

 とくに、今の自民党系の議員というのは、ほとんど小選挙区の選挙しか経験していない。だから地力がなく、世論の潮目が変わった瞬間、票を失って選挙情勢は引っくり返ります。
 

 実際、明石市で私はそれを証明しました。今年4月の市長選では、私が後継指名した丸谷聡子さんが、自民と公明がガッチリ組んだ対立候補を相手にダブルスコアで勝ちましたし、市議選では、私が代表を務めた「明石市民の会」の候補5人が全員当選、上位4位までを占める圧勝でした。

 

 こうした勝利は、明石市だからできたと思われるかもしれませんが、全国でも自公に勝つ方法はある。少なくとも兵庫や大阪の関西エリアなどでは、自公以外の候補が勝って、バンバン方針転換をしていっています。

 

 私は一貫して「支持政党なし」ですが、政党どうのこうのではなく、やはり市民は自分たちのほうを向いた政治をしてくれるかどうかを見極めています。
 

 それは国政でも同じ。「給料が上がらんのに、これ以上負担を増やすな」。これが国民のリアルな本音です。それなのに、自公政権は、もっと負担を増やす政策をやろうとする。

 

 今の古い政治は、国民の不満に対する打開策を見出せていないんです。それはすなわち、いわゆる既得権益にメスを入れず、国民生活を守る方向に予算をシフトできていないということ。

 

 そこを思い切って、「増税はしません、国民の負担を減らして教育費も無償化します」と主張すれば、多くの国民の賛同を得られるはずです。そういう勢力が出てくれば、“大化け” するかもしれない。
 

 じつは自民党も危機感を持っています。だからこそ、子供、子供と言ってるし、茂木敏充幹事長なんか、本音のところは知らんけど、急に児童手当の所得制限の撤廃とか、給食費は無償とか言ってるわけですから。自民党も、世論に敏感な方々は舵を切るしかないという判断になっているんだと思いますね。
 

 ところで、小池さんが、維新に合流するという話があるようですが、そうなったとしても別に驚きませんね。
 

 小池さんは、ご自身の年齢(70歳)からしても、これ以上、漫然と都知事を続けたいとは思っていないはず。小池さんは、細川護熙さん(元首相)が日本新党を作ったときに飛んで行ったし、その後も、小沢一郎さん(衆院議員)や小泉純一郎さん(元首相)などの実力者にくっついた。前原誠司さん(衆院議員)とも、希望の党への合流時に関わった。その時々で、教訓を得たはずです。
 

 今回、総選挙があれば、小池さんは少なくとも国政への復帰を考えはると思います。選挙直前に、維新と組むようなことは十分ある。
 

 たとえば、橋下(徹)くんを都知事の後継候補にして、自分は維新の共同代表になる。そうすると、維新も大きな力になり得る。橋下くんも、ヨーロッパの一国並みの財政規模を持つ東京都知事なら、やってもいいと考える可能性はある。

 

 あるいは、東国原英夫さんも都知事選に名乗りを上げるかもしれない。3人とも政治勘のいい人やし、知事経験もある。小池さんは、いずれ総理を目指すこともあるんちゃいますか。
 

 もちろん私の推測に過ぎませんが、これぐらい誰もがびっくりするくらいのことが起こらないと、日本の政治は変わらん。政治はドラマなんです。いつもの登場人物、古い脚本のままでは国民はついてきません。あらゆる可能性がある政治のほうが、国民も期待してくれます。

( 週刊FLASH 2023年6月13日号 )

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