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神宮外苑に「ららぽーと」計画?「緑地を破壊して作るな」SNSで吹き荒れる声に三井不動産の回答は

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.03 06:00 最終更新日:2023.06.03 17:46

神宮外苑に「ららぽーと」計画?「緑地を破壊して作るな」SNSで吹き荒れる声に三井不動産の回答は

再開発される明治神宮外苑(写真・時事通信)

 

《これが悪名高い、明治神宮外苑ららぽーと計画。》

 

 5月19日、こんなツイートが、商業施設を描いたと思しきイラスト画像とともに投下された。呟いたのは、建築エコノミストの森山高至さんだ。これは、現在進められている「明治神宮外苑の再開発計画」に対する批判だ。

 

「神宮外苑の再開発は、三井不動産が代表事業者となって進められています。神宮球場など老朽化したスポーツ施設を解体し、場所を入れ替えたうえで高さ190メートルの高層ビル2棟を建てることが決まっていますが、そこに巨大なショッピングモールが併設されるというのです。

 

 

 開発には樹齢100年ほどの貴重な樹木を大量に伐採する必要があり、その数は低木含めて3000本以上にのぼることから、多くの批判が集まっているのです」(経済担当記者)

 

 小池百合子都知事は、2月の会見で「認可は法令にのっとって適切におこなった」とし、「事業者には先人たちの思いを引き継いでいただき、100年先の未来につなげる街づくりに真摯に取り組んでいただきたいと申し上げた」と語った。

 

 2021年12月に公表された計画は、閲覧期間わずか2週間。当初、ほとんど注目を集めなかったが、各メディアが報じ始めたことで、徐々に問題が知られてきた。今回の森山さんのツイートであらためて広く知られるところとなり、SNSでは、怒りの声があがっている。

 

《大東京にはこんな商業施設などイッパイいっぱいあるだろうに。緑地を破壊してコンナもんを造るとはアホである》

 

《もう都内はららぽと似たような施設ありすぎなのでいらなくないですかね》

 

《どこにでもあるモールにするって?採算とれると思ってないよね?箱物作ってテナント入らなくて閑古鳥、あとは知らんぷり》

 

 森山さんは、再開発について「商業モールが本当に必要なら、みんなで考えればいいんです。しかし、この再開発は、東京都の都市計画において本当に必要なのでしょうか」と問題提起する。

 

 明治神宮外苑は、明治天皇の事業を後世に伝えるため、荒れ地にゼロから造り上げられた。いまも残る樹木は、創建時に全国から献木され、樹齢100年を超えるものも多い。都市にある優れた自然景観を維持するため指定された「風致地区」でもある。

 

「神宮外苑は、成り立ちからして、多くの国民の総意によって造られた近代型都市公園です。今回の再開発は、そうした趣旨にのっとったものになっているのか。

 

 そもそも、計画の公表がたった2週間だったり、高さ制限をなし崩しに撤廃したりと、おかしなことが多すぎます。明治神宮総代が、今回の計画を主導している三井不動産の岩沙弘道会長というのも、なるべく議論させないような流れを作っている印象です。

 

 本来、神宮外苑周辺は15メートルの高さまでしか建てられない決まりでした。しかし、東京五輪で新国立競技場の国際コンペをおこなうにあたり、『自由に発想してもらうため』という名目で高さ70メートル以下まで許可されました。

 

 ところが、コンペで採用されたザハ・ハディド案は75メートル。ザハ案をスタジアムとして宣伝したからには高さ制限を撤廃しなければ……という流れで、高さ制限は80メートルになりました。

 

 結果、今回の神宮外苑へ高層ビルを建てることが可能になってしまった。建築や都市の法律というものは、過去のさまざまな問題をうけて作られたものです。それなのに、法律を運用する側である行政や、審査する側の学術関係者が抜け道をつくろうとするのはおかしな話です」(森山さん)

 

 樹木の伐採についてもおかしな点があるという。伐採本数について、これまで二転三転してきた経緯があるからだ。当初、樹木を1000本近く伐採すると発表されたが、批判が殺到した結果、2022年8月におこなわれた環境アセスメントでは743本に修正された。

 

 だが、2023年に入ると、再開発エリアの一部だけで、低木を含めると3000本も伐採されることが判明した。3メートル以下の低木が含まれたことで、一気に本数が増加した形だ。

 

 これまで神宮外苑は、都心にある緑のオアシスとして機能してきたが、計画が進めば、そうした周辺の景観は破壊されてしまうだろう。森山さんは「あえて高層ビルやショッピングモールを建てる必要はない」と語る。

 

「“ららぽーと計画” というのは、三井不動産が手がけている商業施設が『ららぽーと』なので名づけましたが、実際に『ららぽーと』ができるかどうかはわかりません。文化商業ゾーンなどといわれても、世間の人たちにはわかりづらいので、こういう言い方をしています。“ららぽーと計画” といえば、どれだけおかしなものか、イメージがつきやすいでしょう。

 

 そもそも、神宮外苑にショッピングモールがあっても仕方ありません。原宿や渋谷に人が流れるので、青山通りや千駄ヶ谷は、現状でもあまりお店が成り立っていません。事業者はそれをわかっているのでしょうか。

 

 ちなみに、2022年5月には、プロジェクトサイトにショッピングモールのイメージ画像が掲載されていましたが、現在は削除されています。決まっている事項があるなら、きっちり出せばいいのに、それもしない。

 

 公共の計画といいながら、民間が進めている事業ですから、開示請求して書類を見せてもらうこともできません。これでは、公共性があるとは言えないでしょう。

 

 都心部では、神社やお寺のように緑があり、広場があり、なおかつ空が抜けている空間は貴重です。神宮外苑の再開発を許してしまうと、同じような都会のオアシスが、どんどん再開発されてしまう可能性がある。なし崩しにことを進めるのはやめていただきたい」(森山さん)

 

 実際、神宮外苑に建設予定の商業施設は「ららぽーと」なのか。また、どの程度の規模感を想定しているのか。三井不動産広報部に尋ねたところ、担当者はこう回答した。

 

「神宮外苑でららぽーとを建設する予定はございません。また、規模感に関しましては、計画概要に記載している以上のことは、詳細未定となっております。これから設計などを検討していく予定です」

 

 サイトからイメージ画像が消えた件については、「2023年4月にサイト全体をリニューアルした過程で、以前と内容が変わっている部分が一部ございます。2022年5月に立ち上げたプロジェクトサイトは、シンプルで一般の方向けにはわかりづらいものでした。そのため、今回のリニューアルで、ビジュアルや文章量を増やしたサイトに作り変えています。意図的に商業施設の画像を削除したわけではありません」とした。

 

 また、伐採本数3000本という数字についても、「少し誤解があるかと考えております」として、こう説明した。

 

「伐採対象の樹木は3028本で申請しましたが、そのうち9割は個別にカウントするのがむずかしい、生け垣などの群生低木です。そのため、3028本というのは、面積から推計値で算出した数字になります。

 

 2022年の環境アセスでは、3メートル以上の樹木が対象だったため、当時は提出できない数字でした。事業者としては、実際の手続きに則って進めております」

 

 はたして、神宮外苑の開発計画はどこに着地するのだろうか。

( SmartFLASH )

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