厚生労働省は6月2日、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す「合計特殊出生率」が、2022年は1.26だったと発表した。低下は7年連続で、2005年に並んで過去最低となった。
「出生数は77万747人で、前年比5%の減少です。80万人を下回るのは、1899年の統計開始以来初めてです。
新型コロナウイルスの影響で結婚や出産を控えたことが主な要因とされていますが、政府は2015年に『希望出生率1.8』を掲げていますから大きな開きがあります。
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少子化のスピードは加速度的に進んでいます」(週刊誌記者)
コロナ禍を過ぎて婚姻数は増加傾向にあり、昨年は50万組を超えるなど明るい兆しも見えているが、6月3日付の日本経済新聞に気になる数字が掲載されていた。
《社会保障給付費は23年度の予算ベースで134兆円に増加し、この20年で1.6倍になった。健康保険組合連合会が22年度にまとめた推計では健保組合の加入者1人あたりの保険料が40年度に45万円前後と、19年度のおよそ25万円から8割以上増える》
背景には高齢化と医療の高度化があるとしているが、このような社会保険料と税の増加が「将来不安」となり、少子化に拍車をかけていることは間違いない。
経済評論家の荻原博子氏は「今のような日本で、子供を産もうという気持ちになるわけがないです」と言う。
「大卒のおよそ半分の方が奨学金の給付を受けています。2人に1人です。ですから結婚をしたとしても、生活は厳しいですよ。子供を産んだら、その子供たちも将来は奨学金という名の借金を背負うことになります。
そして、日本は個人の税金と社会保険料の負担率が平均して47%もあります。収入の半分近くが税金として徴収されているのです。まさに五公五民。延々と苦しい生活が続きますから、子供を産むことをためらってしまいますよね」(荻原氏)
ネットニュースのコメント欄にも、
《産んで良かったけれど、お金がないと幸せな時間を続けていけなくなる》
《30年前と比べて可処分所得が減っているとニュースでやっていたし、収入の約半分が税金、社会保険料では、子供は増えないだろう》
《児童手当を拡充するよりも、公立高校までの授業料完全無償化と、公立大学の授業料補助などにするほうが、将来的な経済負担の軽減が図られ、また奨学金を借りる学生が少なくなる》
《結婚はしたくないけど子育てはしたい、という女性が一定数いるのも事実で、そういう多様な形を受け入れていく社会と制度へのアップデートも必要ではと思います》
など心配や不満、提言などが多く書き込まれている。
政府は「次元の異なる少子化対策」の素案で、国民負担など財源の詳細については年末まで先送りした。岸田文雄首相は「素案で財源の基本骨格は示す。財源議論の先送りという事実はないし、批判は当たらない」と反論した。日本はいま「待ったなし」の状況なのだが……。
( SmartFLASH )