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「中国、福島第一『処理水』の最大6.5倍のトリチウム放出」報道 東電前でデモする韓国野党議員に「中国に文句を」の批判
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.23 16:56 最終更新日:2023.06.23 17:04
6月23日、読売新聞が『中国の複数原発がトリチウム放出、福島「処理水」の最大6.5倍…周辺国に説明なしか』と題して報じた記事が、話題を呼んでいる。
報道によると、日本政府は、外国向けの説明用に、中国の原子力エネルギーに関する年鑑や原発事業者の報告書をもとに資料を作成。その資料によると、2020年に浙江省・秦山第三原発は約143兆ベクレル、2021年に広東省・陽江原発は約112兆ベクレル、福建省・寧徳原発は約102兆ベクレル、遼寧省・紅沿河原発は約90兆ベクレルのトリチウムを放出していた。
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東京電力は、福島第一原子力発電所の年間放出総量を22兆ベクレル以下に抑える計画で、最大で約6.5倍の放射性物質トリチウムを、中国が放出していることになる。
中国政府は、2023年夏にも始まる福島第一原発の「処理水」の海洋放出に強く反発し、官製メディアも動員した反対キャンペーンを展開している。だが、日本政府関係者によると、中国は自国の原発のトリチウム放出について、周辺国との間で合意はなく、説明もしていないという。
自民党の細野豪志衆院議員は6月23日、自身のTwitterにこう書きこんだ。
《処理水の海洋放出は中国に限らず原子力施設を持つ全ての国が行っていることだ。日本国内も同様。福島だけ反対するのは理屈が通らない》
自民党の小野田紀美参院議員も同日、自身のTwitterにこう書きこんだ。
《むしろ日本以外の国の方が数値が高いというのはずっと言われている事ですが、これでもまだ日本の処理水を汚染水と呼び風評被害を誘発する人達が日本国内に多数見られるのが残念です》
6月22日には、韓国の革新系野党「正義党」の議員らが、東電本社前でデモ。このデモには、日本の社民党の大椿裕子参院議員も参加した。
正義党の「福島汚染水阻止タスクフォース」団長を務める姜恩美(カン・ウンミ)議員は、「韓国国民の84%が汚染水の海洋投棄に反対しており、環境団体をはじめ市民社会団体、漁民などが積極的に反対の声をあげているが、これを無視したまま、海洋投棄を強行する東京電力に、強い遺憾を表明する」と述べた。
大椿氏のTwitterアカウントのもとには6月22日、中国、韓国など、世界の原子力施設からのトリチウムの年間放出量を示した図とともに、《なんで福島以外は良いのか説明してください》と問うツイートが寄せられていた。23日、大椿氏はこれを引用したうえで、こう書きこんでいた。
《普通に考えて、世界最大の原発事故を起こした福島が放出するものと、事故を起こしていない国が放出するものと、同じ土俵で比べることが出来ると思いますか?》
中国の原発のトリチウム放出量が、福島「処理水」の最大6.5倍となっていることが報じられると、批判の矛先は、韓国野党議員や大椿氏にも向かった。
《周辺国に説明なしらしいので大椿さんと韓国の政治家は、福島ではなく中国へ文句言いに行くべきですよ》
《韓国は日本に文句を言う前に中国に文句を言わなければ》
《韓国は福島の処理水のトリチウムではなく、中国が放出している汚染水のトリチウム、そして自国が放出している汚染水のトリチウムの心配をすべき。無論、中国も同様》
韓国では最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表も、日本の処理水海洋放出を非難。中国との共闘姿勢を強めている。
6月15日には、太平洋の島しょ国、パラオのウィップス大統領が日本外国特派員協会で記者会見。中国、韓国の原発から福島第1原発が予定しているよりも多くのトリチウムが排出されていることを念頭に、「私たちは、一貫した行動をとるべきだと思う」と指摘した。SNSでは《ほんと、よく言ってくれた》とウィップス大統領を称賛する声が上がっている。
( SmartFLASH )