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「住宅借りづらい人を国が支援」検討会設置報道 現場ではすでに「以前より借りやすくなっている」の声が
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.28 21:00 最終更新日:2023.06.28 21:00
6月27日の「朝日新聞デジタル」が「高齢者や障害者、入居後サポート 賃貸住宅、国支援拡充へ」との記事を報じている。さまざまな事情で住宅を借りるのが困難な人でも、安心して暮らせるよう、国土交通省、厚生労働省、法務省が合同で検討会を設置し、サポートを受けながら生活を続ける仕組みづくりを目指す、という内容だ。「住宅確保要配慮者」と呼ばれる人たちが、生活のサポートを受けられるようにすることで、家主側も住宅を貸しやすくなる。
たしかに、ひとり暮らしの高齢者などが「住宅を借りられない」という問題は長く続いている。都内の中堅不動産会社の社員に聞くと「とくに『ひとり暮らしで年金生活』という方は、孤独死などの心配があるので、大家さんは貸したがらない傾向にあります。実際、私も年に1、2回はそういった現場(孤独死)に立ち合います。認知症になった老人が、夜中に隣の家のドアを叩いて、苦情がきたこともありました」と表情を曇らせる。
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都内の賃貸マンションオーナーは「外国人に貸したら、契約者は母国に帰ってしまい、住んでいるのはその友人たちばかり。契約者がいないので契約更新もできず、退去もさせられないのでたいへんでした」と振り返る。
すべての高齢者や外国人に当てはまるわけではないが、貸す側の逡巡も理解できる。
「今回、このような“住宅弱者”をなくし、安心して暮らせるように国が支援拡充をします。入居後も支援を続け、見守りをするなどで孤独死を防ぎ、家賃を滞納しないように支援体制を整えるということです」(社会部記者)
しかし、すでに国の施策を先取りする動きもあるようだ。目黒区内にある不動産会社の営業マンが語る。
「以前より、賃貸物件は借りやすくなったと思います。背景として、昭和50年代ごろに建てられた老朽アパートが増えているためです。そういった物件は、若い方は敬遠しますから、大家さんは『空室にしておくよりは……』と、高齢の方にお貸しするようになっています。家賃保証会社も、それなりの額の預金証明などがあれば柔軟に対応してくれるようになりました」
不動産事業に詳しい、経済・社会問題評論家の牧野知弘氏も「借りられない事情がある方のために、居住空間を確保する取り組みの方向性は正しいと思います」と評価する。
「大家さんにすれば、連帯保証人や家賃保証会社を求めざるをえないと思います。それを国や自治体がケアする。また、居住者が外部の方とトラブルを起こす懸念があるときや、部屋の手入れが行き届かずゴミ屋敷にしてしまう心配があるときは、定期的に訪問する。これらが担保されれば、大家さんも安心するのではないでしょうか。
欧米では、老人や心のケアが必要な方々など、境遇が同じ方が一緒に暮らす、グループホーム的なアパートもあります。こういったこともヒントになるのではないでしょうか」
住居は生活の地盤。誰もが借りられるよう、一刻も早い法整備が求められている。
( SmartFLASH )