6月27日、「こども家庭庁」が法学者や児童心理学者、弁護士、保護者団体代表、自治体首長ら12人による有識者会議を開いた。テーマは「教育や保育の仕事に就く際に、性犯罪歴がないことなどの証明を求める仕組み」だった。
「これは『日本版DBS』と呼ばれ、イギリスの政府系機関が発行する「DBS(ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス)」を想定しています。『ディスクロージャー』は『前歴開示』、『バーリング』は『前歴者の就業制限』を意味します。
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今後、学校や保育施設、スポーツクラブ、放課後児童クラブなどで働く場合、性犯罪歴がないことを証明する書類の提出を義務づけようというもの。
日本で制度導入の機運が高まったのは、2020年にベビーシッター仲介サービスから派遣された男性シッター2人が、保育中の子供への強制わいせつ容疑などで逮捕された事件からです」(事件担当記者)
会議開催の報道にネットニュースのコメント欄には、
《必要だろう。性犯罪は再犯率が高い。履歴証明書システムを導入して、抑止効果により、そういう人が立ち直るということもある》
《子供関連職業に性犯罪歴というよりも、犯罪歴全般で良いのでは?》
《これまでなかったことのほうが、どう考えたっておかしい》
など多くの賛同の声が書き込まれた。
一方で、憲法が定める「職業選択の自由」や「プライバシー権」との兼ね合いや「どの職業までを対象にするのか」「データをいつまで保管するのか」などの問題点を指摘する声も多い。
辛坊治郎氏は、自身がパーソナリティを務める『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』」(ニッポン放送)6月28日放送回で、「公的に把握している犯罪歴を就職活動に利用するとなると、日本ではかなり議論になるだろう」と述べている。
ニュースのコメントでも、
《刑を全うしたら、ただの人です それ以上の加害行為は暴力ですよ》
などの反対意見が見られた。
実際に幼稚園児や小学生の子供を持つ保護者に聞くと、「無犯罪証明書であれば犯罪歴ではないのでプライバシー侵害には当たらないのでは?」「示談が成立して不起訴になったらデータベースに載らず、“なかったこと” にされるのでは」といった疑問も寄せられた。
会議では、小学生のときに担任教師から性暴力を受けた女性からの聞き取りがおこなわれた。女性は「絶対的な存在の教師には逆らえず、ほかの人に相談もできなかった。被害が原因で体調不良になり、高校に通えなくなるなど苦しみが長く続いた」と証言したという。
ネットにも《未成年の娘を持つ母です…学校や幼稚園などの空間では、すぐに助け出せてあげられません…年齢が小さい程、自分が何をされているのか(被害にあっている)理解しきれていないと思います》と切実な声がある。
政府は秋に見込まれる臨時国会に関連法案を提出するという。はたして、「日本版DBS」は実現するだろうか。
( SmartFLASH )