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25歳年上の妻を愛しすぎた?仏「マクロン大統領」大ピンチ

社会・政治 投稿日:2017.08.21 16:00FLASH編集部

25歳年上の妻を愛しすぎた?仏「マクロン大統領」大ピンチ

写真:AFLO

 

 フランスで歴代最年少大統領になったマクロン氏が苦境に陥っている。大統領選挙でも、その後の議会選挙でも、圧倒的な支持を得たはずだが、ここにきて人気が急落。当初は65%の高い支持率だったが、たった3カ月で36%まで落ち込んでしまった。

 

 この急落ぶりはトランプ大統領を上回るもの。もちろん歴代のフランス大統領と比較しても最悪といえる。いったい、何があったのか。要は、若くしてエリート街道を邁進し、銀行家として成功したものの、人心掌握でつまずいてしまった、ということに尽きる。

 

 選挙期間中の公約では「フランス国軍の予算を増やす。強い軍隊を復活させる」と訴えた。しかし、いざ大統領になると、EUの加盟条件となっている「財政赤字はGDPの3%以下に押さえる」という難題に直面。

 

 この条件をクリアーするためには「国防予算の削減は致し方ない」と軌道修正。しかも、制服組にいっさい相談せず、議会の秘密会合で決定してしまった。そのため、国防の最高責任者ドビリエ統合参謀総長は怒りと失望を表明し、辞任するという大騒動に発展。

 

 ところが、マクロン氏は公の場で「大統領の意向に従わないような人物はいらない」とバッサリ。これにはフランスの現役、退役を問わず軍の関係者が一斉に猛反発。

 

 ことの顛末を取材しようと殺到した内外の記者団に対してマクロン氏は「取材は一切お断り」という対応ぶりで、マスコミまで敵に回してしまった。

 

 これに輪をかけたのが、25歳年上の妻ブリジットさんをめぐる報酬問題である。マクロン氏は選挙期間中から「妻は最高のアドバイザーだ」と二人三脚ぶりをアピール。当選後には「ファーストレディ」として働いてもらうので、国家予算からブリジットさんに給与を支払う意向を表明していた。

 

 確かに大統領夫人となったブリジットさんの人気は高い。年を感じさせないファッションセンスは内外メディアの注目の的となっている。

 

 とはいえ、給料が支払われるとなると、別問題であろう。財政赤字の削減が至上命題となっているため、自らが率いる「政党前進」からもブーイングが。

 

 これがニュースとなると、与野党を問わず、さらに大きな反発の狼煙が上がった。瞬く間に、30万人を超える反対署名が集まったのである。

 

 マクロン氏は財政赤字を減らすという目的で、学生や低所得者層への住宅補助や減税処置を次々とカット。議員の秘書やスタッフにも親族は認めないとの法案が審議されている矢先に、自分の妻をアドバイザーとし、雇用契約を結ぶと言い出した。

 

 国民やメディアの総スカンで、夫人への給与支払いは撤回したものの、選挙中の熱い支持は雲散霧消してしまった。世界的なロックスターのボノをエリゼ宮に招待し、人気挽回のきっかけにしようとしたが、ボノからは「格差や貧困問題に真剣に取り組んでほしい」と説教される有様。まったくの逆効果であった。前途が大いに危ぶまれる若きフランスの大統領である。
(国際政治経済学者・浜田和幸)

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