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ディズニーランドにJR東海…ヘリウムガス値上げで判明!意外な用途

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.08.27 06:00 最終更新日:2023.04.04 16:23

ディズニーランドにJR東海…ヘリウムガス値上げで判明!意外な用途

『時速581kmを記録した超電導リニア』

 

 産業ガス大手の岩谷産業が2017年10月から、ヘリウムガスを15%値上げすると、日本経済新聞が報じた。ヘリウム産出国のカタールとアラブ諸国の国交断絶により輸送コストが膨らんだことが原因という。

 

 実際にメーカーへ問い合わせると、次のように語る。
「2013年7月から、カタールで精製した液化ヘリウムをサウジアラビアの港経由で日本に運んでいました。ところが、6月の国交断絶によりこのルートが使えなくなり、オマーンからの新ルートを確保しなければならなくなりました。このため、新たな輸送コストがかかり値上げすることになりました」

 

 報道を受け、すでに顧客から価格に関する問い合わせが何件かあったという。

 

 ヘリウムガスと聞くと、吸うと声が高くなるパーティーグッズのイメージしかないが、一体どんなものに使われているのか。

 

「半導体工場で使用したり、テーマパークなどのバルーン、病院のMRIなど医療機器にも使用します」(ヘリウムガスメーカー担当者)

 

 日本有数の半導体メーカーに話を聞いた。

 

「半導体のウェア板と呼ばれる基板は、光を当てて焼くなどの加工をします。基板が熱を持ち、冷めるまで時間がかかってしまうため、ヘリウムガスを使って冷却します。製品の原材料ではないので、値上げの影響は少ないと考えています」

 

 次にディズニーランドを運営するオリエンタルランドへ問い合わせた。

 

「弊社では、ヘリウムガスを一般にシルバーバルーンといわれるキャラクター商品の風船で使用しています。ヘリウムガス価格上昇による商品の値上げも、現時点では決定していません」

 

 担当者によれば、パレードやアトラクションではヘリウムガスを使用しておらず、入場料への影響もないとのことだった。

 

 バルーンに関してはこんな珍しい使い方もある。「バルーン宇宙葬の会」は、ヘリウムガスの巨大バルーンを使って、粉末状にした故人の遺灰を宇宙に撒く「宇宙葬」を行なっている。料金は26万円からだが、すでに200件ほど実施されているという。

 

 また、日本の鉄道技術を駆使して開発が進むリニアモーターカーでもヘリウムガスが使われている。JR東海広報室によると、リニアモーターカーは「ニオブチタン合金を液体ヘリウムでマイナス269度に冷却することで超電導状態を作り出す」という。

 

 超電導状態とは電気抵抗がゼロになる現象。電気が半永久的に流れ続け、この電磁石によって車体を浮上・移動させることができる。

 

 ヘリウムガス値上がりの影響に関しては、

 

「超電導リニアでは、蒸発したヘリウムガスを冷凍機にて再度液化し循環使用しているため、メンテナンスを考えてもその消費量はわずかであり、ほとんど影響がないと考えています」との回答だった。

 

 はるか遠いカタールのヘリウムガスが、日本の産業を支えていたのだ。

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