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尾道市「育児アドバイス」が批判受け配布中止「妻がわけもなくイライラ」「家事してくれない」…市の担当者に作成経緯を聞いた
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.07.26 20:30 最終更新日:2023.07.26 20:30
広島県尾道市は、2018年から市民に配布していた「先輩パパからあなたへ」と題した文書について、批判を受けたことで、配布を中止した。平谷祐宏市長は、7月24日、ツイッターで「子育てに関わる方々の心情にそぐわない内容」として謝罪した。
問題の文書は、「尾道市の先輩パパ約100人に行ったアンケート」として、「産前産後のパパの気持ち」を、「妻に言われてうれしかった言葉」「妻のこういう態度(言葉)が嫌だった」など4項目別に集計したもの。
たとえば、「嫌だった態度」の1位には「わけも分からずイライラしている」がランクイン。2位は「赤ちゃんの世話で忙しく、家事ができていない」。3位は「子どもの面倒をみてくれない」だった。さらに、「妻にしてもらってうれしかったこと」1位は「家事」、2位は「育児」、3位は「マッサージ」となっている。
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とくに問題視されたのが、掲載されているコラムだ。そこには、《男性は理論、女性は感情に基づいて行動する》と、男女の脳の違いを指摘する記載もあった。
SNSではこの文書が炎上し、以下のような厳しい指摘が相次いだ。
《尾道市、あり得ない!戦前生まれのおじい様たちではなく、若い人が作ったものかと思うと、ゾッとする》
《こんなことわざわざプリントして産後のお母さんたちに渡す必要あります?出来てないなぁと思うんだったら夫が自分でやればいいじゃない》
《もう少し、優しさを持って我が子を産んでくれた妻を労わってあげてください。こんなアンケートがまかり通る世の中だから、出産することを躊躇う若い人が増えるんだなぁと思います》
波乱を呼んだこの文書は、いったいどのようにして制作されたのか。尾道市担当者に話を聞くと、どこか憔悴したような声色で、こう回答した。
「今回の文書の狙いとしては、これから父親・母親になる人に向けて、少し先輩になる父親・母親が、育児に関してどのように思ってきたのかを見てもらい、父と母の違いについて知ってもらおうというものでした。
今回は、先輩となる父親・母親のみなさんにアンケートを取り、文書を作成しました。コラム部分については、当時の資料が残ってはいないものの、さまざまな資料を確認して、職員が作成したと聞いています」
当時、自由記載のアンケートを簡単な文言に集約するなどした程度で、基本的にはアンケート結果をそのまま反映する形で制作されたという。そのうえで、担当者は今回の騒動についてこうコメントした。
「このたびの件を受けて、性別による役割を古典的にとらえる意識や慣行を助長する表現内容があったと、配布中止をいたしました。現在、たくさんのご意見をいただいております。市民の方を含め、さまざまな方に不快な思いをさせてしまって、申し訳なく思っております」
広島県では、2021年11月に「働く女性応援よくばりハンドブック」と題した冊子が、「仕事と家庭の両立はよくばりなのか」と炎上している。尾道市は、他山の石として学ぶべきだったのかも――。
( SmartFLASH )