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大阪万博、海外パビリオン建設に政府出資の保険創設「支払いの原資は税金?」国民の間で強まる危機感
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.08.03 17:32 最終更新日:2023.08.03 17:37
8月2日、経済産業省は、2025年大阪・関西万博の海外パビリオン建設を支援するため、国内建設業者を対象とした「万博貿易保険」を創設したと発表した。発注元の参加国側から工事代が支払われない場合、代金の9割以上が補償される。保険は政府が全額出資する日本貿易保険(NEXI)を通じて提供する。不払いリスクを下げることで、国内建設会社の受注を後押しする狙いだ。
2025年4月に開幕する万博では、約50の国・地域が自前で建設する「タイプA」のパビリオンが、国ごとにデザインに工夫を凝らし、「万博の花形」になると期待されている。
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だが、資材の高騰や人手不足などで、参加国と国内の建設業者の契約が難航。万博貿易保険の導入は、こうした状況の打開につなげるのが目的だ。発注元の海外企業の倒産や、参加国での紛争発生など、条件に合わせて9割から全額をカバーする。受注業者が支払う保険料は、通常の3分の1程度に抑える。
西村康稔経済産業相は、万博開催に向けて2日に開かれた省内会議で「抜本的な体制強化で、総力をあげて建設を支援していきたい」と述べた。
実業家のひろゆき氏は8月3日、自身のSNSにこう書きこんだ。
《2025年の大阪・関西万博のパビリオン建設費用が参加国から支払われない場合は、日本国民が払う事に決まりました。「あなたが建設費用の支払いをしますが、パビリオンを見たければ7500円の入場料を払ってくださいね。」》
SNSでは、「万博貿易保険」を提供することについて、不安視する声が上がっている。
《万博保険?それは名前を変えた万博「税」》
《この保険 支払い金の原資は何だ? まさか税金?》
《・・・ってことは、「コストは全て、私たち国民の税金」ってことだよね?(怒》
《気が付いたら盛大に税金をつぎ込んだ盛大な赤字のお祭りになりそうですね》
吉村洋文大阪府知事は7月14日、岸田文雄首相と5月に面会した際、国としての対策を要望したと明らかにした。府庁で記者団に「問題意識を共有しないといけないと思った。いまは国が主体となり、建設業界に働きかけている」と語った。
パビリオン建設をめぐっては、建設業界も、働き方改革の波で深刻な人手不足に陥る「2024年問題」が待ち受ける。万博協会と政府は、2024年春から建設業に導入される時間外労働の上限規制について、規制除外とすることも含めて協議している。
日本維新の会の藤田文武幹事長は8月2日の記者会見で、規制除外とする考えに「許容してもいいのではないか。建設業者が働きやすい環境を後押しするのは検討範囲だ」と述べた。
一方で「過酷な労働や労働事故につながるようなことは、避けないといけない」とも指摘。規制の特例を認める場合の制度設計を、詳細に検討すべきだと主張した。
SNSでは、時間外労働の上限規制について、万博関連の工事は規制除外とすることに、批判的な声があがっている。
《ただでさえ建設業界は人手不足で苦しんでるのに、そんな過酷な現場に誰が行きたがるのだろうか?》
《海外パビリオン着工進まず「プレハブ建売」「残業規制外し」も検討ですから。そこまでしてやる必要あるのかな!?》
《国民を馬鹿にするのもいい加減にして下さい!長いあいだ労働者を安い給料で働かせ続け、口では労働環境の改善とか甘いことを言う裏からもっと残業しろと!時代遅れの万博は中止》
時間外労働の上限規制の除外に加え、万博貿易保険の創設。なりふり構わず開幕に突き進んだ先に、どれだけの国民負担が待っているのだろうか。
( SmartFLASH )
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