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パチンコ店の立体駐車場で大火災…専門家が指摘する「避難のリスク」「意外な出火原因」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.08.21 20:15 最終更新日:2023.08.21 20:15
8月20日午後2時半すぎ、神奈川県厚木市にあるパチンコ店「マルハン厚木北店」の立体駐車場で火災が発生した。
「2階に駐車した車から発火したようです。当時、2階はほぼ満車だったため、次々に燃え広がり、それがガソリンに引火して火勢が強まりました。
スプリンクラーが作動したとの情報もありますが、消防車20台が出動して発生から4時間後に消し止められました。燃えた車は100台を超えるとみられますが、ケガ人はいなかったようです」(事件担当記者)
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「ドンという爆発音が数回聞こえ、あっという間に大きな火の手が上がりました。黒煙もすごくて、すぐに周辺が真っ暗になりました」といった目撃談も報道されているが、たしかに火災の映像を見るとすさまじい炎があがっている。
こうした立体駐車場は、パチンコ店だけでなく、スーパーマーケットや量販店などでもよく見かける。はたして、どのような危険があるのか。駐車するときの注意点などを「(株)リスク・ヘッジ」の代表、田中優介氏に聞いた。
「どの階でも危険ですが、火は下から上にのぼります。そのため、たとえば5階建ての立体駐車場の2階で火災が発生したとすると、5階は2~4階に駐車している全車の火災の危険を背負っていることになります。上層階は、それだけ延焼被害も逃げ遅れのリスクも高くなるのです。
また、立体駐車場の多くは螺旋状のスロープで、出入口は1カ所です。火災が発生すると車はそこに殺到しますから、駐車場から出られない可能性があります。迫ってくる火の恐怖で車を乗り捨てて逃げる方もいます。後続車はにっちもさっちもいきません。立体駐車場で火災が発生したら、車での避難はとても危険です」
今回の出火原因は、警察と消防の調べを待つしかないが、車内から発火した可能性が高いという。原因としては、なにが考えられるだろうか。田中氏は「注意しなければならないのがモバイルバッテリーです」と指摘する。
東京消防庁の資料によると、2021年中、モバイルバッテリーなどに使用されているリチウムイオン電池関連から出火した火災は141件で、前年と比べて37件増加。最近5年間で最も多い件数となっているそうだ。
「ほかに、キャンプなどで使った携帯型のガス缶をトランクに置きっぱなしにして、車内の熱で缶が膨張して破裂することがあります。フロントガラスの油膜とりスプレイ缶なども危険です。
意外に思われるかもしれませんが、飲み残しのペットボトル、メガネ、フロントガラスにつけた吸盤などは虫眼鏡のように集光作用があるので、発火の原因になります。車内に入る日差しの向きなどに注意してください」(田中氏)
危険は身近なところに潜んでいる。
( SmartFLASH )